発毛・育毛法

男性型脱毛症(AGA)

発毛・育毛法

髪を守るには頭よりここを見て

頭皮の色と手のひらの色は同じだった
頭皮が瘀血(おけつ)状態になってくると、体のあちこちにサインがあらわれます。たとえば、決まって手のひらも赤茶けてきます。とても不思議な現象です。
私は初め、そこに気が付きませんでした。でもあるとき、たまたまAGA(男性型脱毛症)予備軍のお客様の手のひらを見る機会がありました。
そのお客様の頭皮は赤茶けていました。そこでお客様にそのことを見ていただくために、手鏡を手渡したのです。そのとき差し出されたお客様の手のひらが、赤茶けてむくんだようになっているのを発見したのです。
私は専門家ではないので詳しいことはわかりませんが、ともあれ内臓の変化や栄養状態、そして精神的な疲労まで、手のひらは表現しているのではないでしょうか。もちろん頭皮の異常も同じです。髪の毛の危険信号が、手のひらにあらわれる?
と考えていただければわかりやすいでしょう。
皮ふは、色素と血液の量で色あいが決まると言われています。でもそればかりではありません。そのときの感情にもつながっています。
たとえば顔だってそうです。ゾッとして血の気が引くと、顔色は青白くなります。
遂にカッと怒ると、血がのぼって顔の色が真っ赤になります。手のひらだって、すごい脂汗をかいたり、冷たくなったりします。手のひらの色が頭皮と連動していたって、なんの不思議もないのです。
というわけで、頭皮が赤茶けると、手のひらも赤茶けてくる?という関連がおわかりいただけたと思います。頭皮の赤茶けが消えれば、手のひらの赤茶けも消えます。
そこで私、ある作戦を考えました。″頭皮の赤茶けが消えると手のひらの赤茶けも消えるのなら、その遂は成立しないだろうか?″と考えたのです。
そこで手のひらが赤茶けたお客様にお願いして、順皮にやるように手のひらのマッサージをさせていただいたのです。そして驚いたことに、このやり方がズバリ当たったのです。手のひらマッサージで手のひらの赤茶けを解消してやると、不思議なことに頭皮の赤茶けも消えていったのでした。
私が押す場所とは、親指と人差し指の間の付け根の部分です。ここを押すともっとも早く効果が出ます。
この指の股の筋肉は、やおらかいのがふつうです。ところが瘀血になった人は、張りが出て、固くなってきます。ひどいときはカチカチになってしまいます。そこを念入りにマッサージしてみてください。必ず効果が出るはずです。

薄くなってきた人が皆言う「こむら返りをよく起こす」

こむら返りをよく起こす人にAGA(男性型脱毛症)が多い
こんなことを言うお医者さんはいないと思いますが、どうも事実です。これは、冷えと関係があるようです。からだが冷えて血液循環が悪くなるわけです。からだ全体が冷えているのですが、とくに初冬の夜に寝ていてフトンから足を出したりしたとき、冷え切ったふくらはぎの筋肉に負担がかかり、足がつります。こむら返りです。
これは、血流障害とはいっても、一時的に起きる、急激な酸素不足が原因だそうです。そしてその酸欠の原因が冷えなのです。
中年になってからのこむら返りは、とくにこのケースです。筋肉が冷やされて酸欠状態になり引き起こされるのです。
そして、AGA(男性型脱毛症)の人にお話をうかがってみると、ほとんどの方が「こむら返りをよく起こす」と答えています。冷えがその人の頭をAGA(男性型脱毛症)にしてしまうのです。おおコヮー
そこでからだが冷え気味の方は、とにかくからだを冷やさないように注意することが大事です。寝るときは靴下をはいて寝ることもいいでしょう。それもふくらはぎが隠れる、冬用のハイソックスです。
足もとばかりではありません。寝るとき、首にタオルを巻いたりするのもからだをあたためるのに役立ちます。とにかく冷えは、AGA(男性型脱毛症)の大敵なのです。
耳たぶのできものは頭皮の異常サイン
「耳の異常でAGA(男性型脱毛症)がわかるんだよ」
私がこういうと、みなさん、たいていの人がびっくりなさいます。
それはそうでしょうねえ。誰だって、耳とAGA(男性型脱毛症)の間に相関関係がある?なんて考えてもいないからです。
ところがあるのです、これが・・。「ではその根拠は?」と聞かれても困ってしまうのですが、それは″理屈″ではなくて″現実″なのです。
つまり、私の床屋歴36年の経験からわかったこと、毎日お客様方の頭を見ていて気がついたことだからです。
たとえば、AGA(男性型脱毛症)予備軍(脱毛が激しくなった人、頭皮が赤茶けてきた人、髪の毛がめっきり薄くなってきた人、抜け毛の先端がバキバキになっている人……など)の方々の耳を拝見すると、たいてい耳にデキモノができているのです。
耳の、外側に出ている部分全体の中で、とくに耳たぶなどをよく見ると、ポチッと一点、赤い斑点のようなものが見えることがあります。これがクセものなのです。こういう人はたいていAGA(男性型脱毛症)の資格を備えている?と言ってよいでしょう。こういう方々は、なぜか髪の毛にまるで勢いがなくなっています。
そのことに気付いて以来、私はお客様が調髪台にお座りになると、ついその耳を覗き見る習慣がついてしまいました。その結果いまでは、デキモノばかりでなく、外見からは見落としてしまいそうなかすかな耳の異常まで見抜くことができるようになりました。
耳たぶは、フカフカとやおらかくて、マシュマロのようになっているのがふつうです。その耳たぶの一部に、手で触ってわかるくらいの固い部分、つまりグリグリができているというケースもあるのです。
グリグリやできものでなくても、耳たぶには髪の弱りのいろいろなサインがあらわれます。なんとなく色が悪くなったり(赤みが消え、白っぽくなる)、指ではさんでみて弾力がなくなったり、あるいはちょっとした筋(線)が入ったりします。
人間のからだというのは本当によくできているもので、頭皮に異常があると、耳たぶにサインが出て私たちに教えてくれるのです。だって、私たちの頭は、顔と追って鏡で見ることができませんから。
また、耳の輪郭が総体的に乱れてくることもあります。これはかなり感覚的な見方なので具体的に申し上げることはできませんが、日ごろ耳の輪郭がはっきりしているお客様が、なんとなくボヤケて見えるなァ、と感じたときその話をすると、ピタリ合うという実感をしているからです。
「お客さん、なにかあったんじゃない?」
「ウソ。ここんとこちょっとからだの調子が悪いんだよなァ」
「髪の毛、抜け方がちょっとひどくなってるよ。このままだと保証できないよ」
「おいおい、おどかすなよ」
「まずからだの調子を治さないとなァ。髪の毛もすべて内臓と直結しているんだから」
「ウソ、ウソ」こんな調子です。

眉毛と眉毛の間に髪の弱りが出る

これもたくさんのお客様のお顔を観察していて気がついたことなのですが、眉毛と眉毛の間にデキモノが出ていたり、肌がカサカサしている人にAGA(男性型脱毛症)の兆候が出ていま
す。これもまた、髪の毛の健康に対するSOSのサインと考えられます。
また、眉毛といえば、デキモノではなくても、眉毛の長さにバラつきが出てきたら要注意です。眉毛の中の数本だけがヒョロッと長く伸びたような状態です。
これはホルモンのバランスが崩れてきたことを示しています。髪が弱り出した証拠です。
ホルモンバランスの乱れは、即、髪の毛へと影響します。ひどい方ですと、髪が十分に伸びきらずに途中で抜けてしまう、というお客様もいらっしゃいました。
ふつう、老化が進むとホルモンのバランスが崩れてくると言われています。村山元首相ぐらいの年齢になれぱ、ああいう眉毛になってもしかたがないのかもしれません。
しかし、まだ若い人の眉毛がバラついていたら、これはちょっと心配です。ちなみにこれは、眉毛の濃い、薄いとは関係ありません。
それから、目の周囲のデキモノやクマも髪の異常を知らせるサインとなっていることがあります。
目の付近は、皮ふが薄くなっています。だから、からだ全体の皮ふの異常が、そういう弱いところに集中してあらわれることになるわけです。
こういう人はたいてい、夜勤明けとか徹夜のマージャン、あるいは暴飲暴食、強度のストレスなどに見舞われています。
そこで私は、それとなくご注意申し上げます。「お客さん、最近、忙しすぎるんじゃありません?」と。
もしあなたが行きつけの床屋でこのセリフを聞いたら、それは親切な床屋が、あなたの髪の毛のSOS信号を伝えてくれているのだと思ってください。
お客さんの首すじを押してハッとすること
これも床屋の経験からわかったことなのですが、首筋のコリ、とくに両側面のスジがコリ出すのも、髪の毛の赤信号の一つです。
首筋のコリはいろいろな条件で出ますから迷ってしまいますが、首筋、それも両側面のコリの一因に頭皮の瘀血があるのも事実のようです。
調髪中、洗髪のあとでお客様の首スジを軽く叩いたりもんだりして差し上げます。
このとき、とっても気持ちよさそうにする方がいらっしゃいます。こういった方は、明らかに首スジが凝っている方です。血行が悪くなっているのです。
このコリはそのまま首筋から頭のてっぺんへと上がっていきます。上がり切ってしまったら頭皮の感血が始まります。これはおおごとです。
AGA(男性型脱毛症)の人は、見た目にも男っぽく精カギラギラに見えますが、その実、首や肩にかなりひどいコリを抱えているのが実情です。
とにかく、首の両側面の筋が凝り出したら「AGA(男性型脱毛症)予備軍」の兆候と考えてよいでしょう。それから、首筋のうしろの、二本の筋にはさまれたくぼんだところ(ボンのくぼ)にできたできものも目印になります。これも髪が弱り出している証拠です。
その「ボンのくぼ」がやたらとカユくなったり、プチッとニキビのようなものが出ることがあります。これも要注意です。
ため息ひとつも不思議な前兆現象
ため息というのは、呼吸の乱れです。呼吸の乱れているお客様にも、AGA(男性型脱毛症)の兆候が見えることを私は確認しています。つまり、呼吸の乱れが髪を弱くしているのです。
私の商売で、お客様の頭を刈っていたり、顔をそっているとき、その乱れが気になることがあります。
″ああ、この人、呼吸乱れてるな″って、つい思ってしまいます。″なんか心配ごととかストレスがあるんじゃないかナ?″と。
その最たるものがため息です。頭を刈らせながらしきりにため息をついている人がいます。ご本人は無意識なのですが、周囲にいる人間にはよくわかります。その人がご常連さんならば、夜、ちょっと一杯縄のれんに誘って話を聞き出すこともあります。いえ、「余計なことを……」とお叱りを受けそうですが、なにか他人のプライバシーに興味があるわけではありません。その悩みが、髪の毛に直接影響してくるからです。
私たちの呼吸にはリズムがあります。そのリズムは、人それぞれ違いますが、ただ一つ変わらないことは、誰の呼吸であれ正常な呼吸は規則正しい……ということです。
そのリズムが、他人にもわかるくらい乱れてくると、本人は無意識にため息をついてその乱れを調節しようとするわけです。もっとわかりやすく言えば、呼吸のリズムが狂って息が苦しくなるからため息をつく。若い人は違いますが、中年になってため
息を乱発し始めたら、必ず頭皮への血流が悪くなります。脱毛症ヘー直線です。
でも、呼吸法を正しただけで、ため息が止まります。これは私自身の経験なのですが、私もどちらかというとストレスに弱い型の人間でした。そこで人にすすめられて腹式呼吸をやり始めたのです。そうすると、ストレスの原因がなくなったわけではないのに、スーッと心が落ち着いてくるのです。
ため息一つがAGA(男性型脱毛症)に直結する……。きっとびっくりなさったでしょうね。
順番待ちの足の組み方でズバリわかる
私たち床屋稼業では、お客様がたてこんでいるときは、待合のコーナーでお待ちいただくことになります。そんなとき、順番待ちのお客様の足の組み方に注目することがあります。その結果、面白いことがわかりました。順番待ちのときの姿勢や動作で、その方の髪の好不調を見分けることができるようになったのです。
たとえばこういう人がよくいます。片方の靴を説いで、もう一方の足の甲を靴の上からカカトでグリグリやっているのです。新聞を読みながら、無意識でやっています。
変なことをやっているなぁと私も思っていたのですが、調べてみると実は、無意識にツボを剌激していたのです。
足の甲には疲れをとるツボ(太衝=たいしょう)があります。それからカカトにもツボがあります。ツボとツボをこすり合わせて、マッサージしてるのですね。
これは、足の冷えを防ぐという意味でも効果があります。おそらくこの人はからだに冷えが出ているので、からだ自身がそれを要求しているのでしょう。「太衝のツボ」は、肝臓を活性化するツボでもあります。だからそのお客さんは、ゆうべ冷たいビールを飲みすぎたのかもしれません。こういう方は、やはり要注意です。いまはまだなんとか大丈夫ですが、放っておくと髪の毛に影響します。不調の始まりの時期。やがて抜け毛からAGA(男性型脱毛症)ヘ……ということも考えられます。

背筋がピンと伸ぴてる人は髪の毛も立派

お店に入ってくるときの姿勢からでも、髪の好不調を占うことができます。
背筋がピンと伸びている人は、髪の毛も立派です。こういう人は骨盤がしっかりしているので、背骨がまっすぐ伸びています。頭部への血液循環もスムースです。
遂に背筋の弱い人、つまり猫背になっている人は内臓が弱いのです。背筋の強い人は、胸をしっかり張って、そっくり返るほどです。遂に背筋の弱い人は前かがみになって、見た目も内臓が悪そう。無気力、内向的に見えてしまいます。
そして困ったことに、最近のお子さんに背筋が弱い子が増えています。調髪台に座わらせてみるとよくわかるのですが、椅子に座っても前かがみです。椅子の背もたれと客の背中の間にすき間があきすぎて、私たち床屋にとってはとても散髪しづらいものです。
そこで最近では、背もたれを90度近く立てた調髪台もつくられています。これは、背筋の弱い最近のお子さん用です。本当に嘆かわしい限りです。

ついにわかった髪に悪い生活

クシがスーッと通らない学生の大問題
食生活、ストレス、睡眠……等、お客様との会話の中には、さまざまな髪に関するヒントが隠されているようです。
「私はこうして髪が弱ってしまった」、「私はこうしたら髪の毛が回復した」等々、多くの人たちの実話の中に、髪をダメにする、あるいは髪に活力を与える生活法のヒントがあるように思います。
まず食事です。Yさんは大学生。兵庫県高砂市出身で、大阪で一人暮らしの下宿生活をしています。
下宿といっても、昔のように賄い付きではありません。″賄い″という言葉は、いまではもう″死語″になっているかもしれませんが、朝食と夕食が付く下宿が常識でした。
でもいまは連います。食事付きを好む学生さんがほとんどいません。そうなれば、大家さんのほうも渡りに舟、めんどうな食事づくりをやめてしまいました。学生にとっては、いわゆる″おふくろの味″は舌に合わないのでしょう。
そうなると、彼らの食事は外食かコソピェものになりますね。Yさんも、お金がなくなるとインスタントラーメンです。ちょっと気張っても、レトルト食品のカレーライスです。
その結果がどうなったかというと、はっきり髪の毛にあらわれました。栄養の偏りが髪の毛に歴然とあらわれたのです。若いのに皮脂の分泌が少なく、頭皮はもちろん髪の毛はパサパサ。ツヤがありません。
当然、頭皮も赤っぽくなってきます。こんな食生活では、たとえ血液循環は順調でも、栄養分不足で、AGA(男性型脱毛症)ていっても不思議はありません。
Yさんは私の店の常連さんでしたから、老婆心(老爺心?)からこうご注意申し上げました。「お兄チャン。このまんまじゃアンタ、AGA(男性型脱毛症)になっちゃうよ。どうするの?」
「どうするのって、どないしたらええねん?」
「お兄チャンのことだから大洒飲んでるわけもなし、原因はズバリ食事やな」
「ウソ。オレ、ビンボーやからなァ。ロクなもん食えへん」
「それじゃダメだ。もうじき夏休みやろ、家に帰ってうまいもん食ってこにゃあ」
「夏休みはバイトすることになってんねん」
「バイトをとるかAGA(男性型脱毛症)をとるか、二つに一つやな。余計なおせっかいかもしらんけどな、AGA(男性型脱毛症)てもええのんならバイトせい」
こんな会話があってから約一ヵ月ほど経ったある日のこと、そのYさんが店に
顔を出しました。散髪に来たのです。その髪の毛に触ったとたん、私は(アレッ?)
とびっくりしました。
たった1ヶ月前とは、180度も違っているのです。以前は髪の毛と髪の毛がからまるくらいの手入れの悪さで、クシはおろか指を通すのにもひっかかっていたYさん
の髪の毛に、スーッと指が通るのです。頭皮の色もすっかり白さを取り戻していました。
「いやァ、おっちゃんのおどかしが効いたもんねぇ」
Yさんは私の言うことを聞いてバイトの予定をとりやめ、実家に帰ったというのです。そこでうまい魚料理や山の幸、野菜のたっぷり入ったお母さんの手料理を食べたおかげで、たった3週間の里帰りで髪の毛の健康を取り戻していたのでした。
「そうやろ。おかあさんの食事って、ありがたいもんやろ」
「ウソ。ほんまやなァ」
髪の毛が食生活と大いに関係があるという、わかりやすい実例でした。
春先の薄着で生えぎわに″ソリ込み″が入る
「伊達男ほどAGA(男性型脱毛症)になりやすい」?こんなことを言うと、全国の自称ダンディさんたちから猛反発を食らうかもしれません。
でも本当なのです。これも、まぎれもない″床屋の実証″です。
たとえばこういう方がいらっしゃいます。
「アラン・ドロンは、素肌の上にじかにYシャツを着るんだよナ。だからオレも真似しているのさ」
もうおわかりですね。アラン・ドロンなんて″昔の名前″を持ち出してくるこのお客さん、もうオジさんもオジさん、かなりの中年男です。
いや、男はいくつになっても、女にモテたい、と願望しています。そのためにケナゲな努力を続けます。それはそれで結構なことです。精神的にはたいへんノーマルな状態といえるでしょう。だから中年男が、シャレっ気を出して下着をつけず、素肌の上にそのままYシャツを着たって別になんの問題もありません。
ただ、心配なのはそれに慣れているかどうか、です。
西欧の男たちには長い間の伝統があります。長年、Yシャツー枚の生活をくり返してきて、からだに耐性と適性ができています。それに、日本のように四季の区別がはっきりしていませんね。
ところが日本のダンディ中年さんたちは、そこを取り違えて突然薄着になってしまいます。とくに春先、「ダンディは季節を先取りするんだ」などと言って、急に薄着になります。
春先は気候が不順です。暖かい日もあれば、寒い日もあります。そんなとき、唇を紫にし、ガチガチ歯をふるわせているダンディ中年男さんたちがいます。あるいは初冬の日々、もうかなり冷え込みがあるのに薄着でがんばっている……。こういう方々は、もう立派なAGA(男性型脱毛症)予備軍です。
からだを冷やすということが、どれほど髪の毛の健康にとってはよくないことか。
それを私は、医学的な理論ではなくて、″床屋の実証″として知っているのです。
からだの冷えは、髪の毛の大敵です。こうしてお客様の頭を数多く見てくると、そういう″冷え症″のお客様に限ってひたいの毛の生えぎわ、それも左右の両端が、
″ソリ込み″を入れたようにAGA(男性型脱毛症)上がってくるのです。AGA(男性型脱毛症)とまでは言わなくても、毛が薄くなってきます。まさに″天然のソリ込み″です。頭皮が青白い人なら、まだ余裕があります。でも天然ソリ込みが入ってさらに頭皮まで赤茶けてきたら、あとは″冬の日の日没″のごとくAGA(男性型脱毛症)までアッという間です。
さあ、ダンディ中年の薄着とAGA(男性型脱毛症)と、二者択一と言われたらあなたはどちらを選びます?
春の木の芽どき、そして天高く馬肥ゆる秋の終わりにはとくにご注意ください。

急に薄くなったのはダイエットのせいだった

最近、ダイエットで髪を悪くする人が多いようです。Dさんのケースがそうでした。
頭のてっぺんが急に薄くなったお客様におうかがいしてみると、食事制限のダイエット中で、現在7キロ減量に成功しているとおっしゃいます。
そのほかにも原因があるかもしれないと考え、いろいろ質問をしてみましたが、急激な抜け毛の原因はダイエット以外ほかに見当たりません。
私はとても心配していたのですが、一ヵ月後、その方はとうとう円形脱毛症になってしまいました。
私がこれまでお店に見えたお客様で見ているケースでは、一般的な円形脱毛症の毛は顕微鏡で見ると、根元がシッポのついた枯れ木のような状態になっています。
そして″うつ病″的な脱毛の場合には、ハサミでパチッと切り落としたような根元になっています。前述のDさんの場合は、このケースでした。
きっと、ダイエットに大きなストレスを感じ、それがうつ的な状態にまで進行していることがうかがえます。
そして3ヵ月後。
Dさんはダイエットをやめてしまいました。
10キロ近くやせていた体重はたちまち元に戻ってしまいましたが、髪の毛の円形脱毛症は元に戻っていません。
フィンコム(フィナステリド)の服用とマッサージを、ぜひ、始めてもらいたいものです。

閉店間際に強引に入って来る人にAGA(男性型脱毛症)る人はいない

N子さんは65歳です。私のお店で白髪染めをされています。
ところがあるとき、その毛染めがうまく染まらないのです。
使っている染め剤は、以前と全く同じものです。やっているのも私です。それが2回も失敗したのです。どうもうまく染まりません。
私は自信を失いました。もしかしたら私の腕が落ちたのかもしれない、でもそんなはずはない、おかしい……。
考えてみれば、N子さんはお店に入ってきたときから暗い感じでした。声を掛けても、ほとんど反応しませんでした。以前は明るくて、愛想のいい人だったのです。
そこで私、″取材″をしてみました。このままでは私も引き下がれません。床屋の看板にかかわります。N子さんの周囲の人たちにいろいろと話を聞いた結果、N子さんは嫁とソリが合わず、悩んでいたことがわかりました。N子さんの嫁さんというのがなかなかの猛女(?)で、姑さんのほうがしいたげられているというのです。
そこで私は、N子さんの白髪染めがうまくいかなかったのはそのせいだとの、私なりの結論に達しました。
だって、その後N子さん家のゴタゴタがとりあえず治まってから私の店に来たときは、なんの支障もなく見事に染め上がったのですから。
このN子さんの例などは、まさに″嫁・姑戦争″がもたらしたストレスの、具体的なあらわれではないでしょうか。
これまでに何度も取り上げているように、ストレスは髪の毛の大敵です。つまり神経性のものです。その意味では、神経の細い人ほどAGA(男性型脱毛症)、円形脱毛症などになりやすい、とも言えるわけです。
でも、「ああ、私は生まれつき神経質な性格だから、もうダメだ」などと悲観しないでください。
人間もトシをとるにしたがって、足も腰も、内臓も、あらゆるところが弱ってきます。そして髪の毛が薄くなったり、抜け毛が増えたりします。白髪も″出てきて当たり前″と思わなければなりません。
それを、「あ、また一本抜けた!」「どうも白髪が増えている!」「頭のてっぺんが薄くなったゾ」などといちいち考えていると、ストレスはかえって増幅してしまいます。
そう。クョクョしても始まりません。「誰だって、トシをとれば髪の毛は薄くなるのサ」と開き直ることです。そして次に信じること。たとえばフィンコムがいい……と思ったら、″必ず髪の毛が増えてくる!″と信じて使い続けることです。
たとえば店の閉店間際にあわただしくやってきて、「まだいいやろ? 頼むわ」などという厚かましい(?)人に、AGA(男性型脱毛症)の人はめったにいません。そういう人は、神経質とは縁遠いですね。

「髪の毛がしぼんでいる」状態

「睡眠時間は1日3時間……」と伝えられるあのナポレオンは、実は慢性的な睡眠不足に悩まされていて、行軍の途上の馬上でさえしばしばまどろんでいたそうです。
その鼻先に部下がチーズを差し出すと、ナポレオンはなかば夢うつつで、「おー、ジョセフィーヌ。今夜はもう眠らせてくれ」と言ったという話は有名です。
私は、あのナポレオンは実はAGA(男性型脱毛症)ではなかったか(?)と思っています。その根拠は、睡眠不足と軍帽の着用です。なかでも睡眠不足の要素が強いでしょう。
睡眠不足は、髪の毛の健康ともろに直結しています。
職業柄、夜働かなければならない人とか、好んで夜更かしをしている人たちは、テキメンに髪の毛が痛んでいます。たとえば夜勤明けとか徹夜マージャン明けで散髪に見えたお客様の髪の毛は、ピンとしていません。
つまり髪の毛に張りがないのです。そのため毛の先端が垂れぎみです。勢いがなくベターッとしているというのか、髪の毛がしぼんでいるのです。
Fさん(25歳)は、ある新劇団の劇団員です。といって、役者としてはまだ無名で、″その他大勢″に近いいわぱ″役者の卵″です。収入も低く、独身生活を余儀なくされています。
でも劇団員とか映画の大部屋俳優などというのは、サラリーマンと違って時間が不規則です。それに仕事があまりないからヒマです。そこで仲間が集まってはお金を出し合い、お酒を飲み、マージャンに興じます。
翌朝の出勤といったサラリーマンのような制約のない彼らは、マージャンを始めたらもう必ず徹夜です。酒を飲みながら、食事はただかっこむだけ。相手の動きに目を血走らせます。相手がどんな待ちをしているか、それを読むために神経をすり減らします。室内は、もうもうたるタバコの煙。からだにも、そして髪の毛にもよくありません。
そんなFさんは、不摂生な生活によって発生する「AGA(男性型脱毛症)」の典型的な前段症状を示していました。
その点もっと可哀相なのはM君です。
M君は、学区外の遠い中学校に通っています。
住民票はちゃんと移していますから不正な越境入学ではありませんが、結局、中学生の一人暮らしはいろいろと問題が発生します。
食事一つとってもそうです。
そこでMくんは自宅から電車通勤することにしました。片道二時間かかります。おかげで朝が早く、慢性的な睡眠不足に見舞われていました。そのストレスが、Mくんの髪を薄くしてしまったのです。
むろん、みんなと一緒にクラブ活動ができない悩みもあったのかもしれません。

食べものの好き嫌いで髪をダメにしてしまった例

Qさん(50歳)は、自他ともに認めるビール党でした。ビールなら、1ケース飲んでも平気という豪のもの(相撲取には負けますが・・)です。
そのQさんがしばらく私の店に見えなくなりました。3ヵ月ほどしてフラリとあらわれたのですが、ひょいと見たその頭は、いたるところ″10円ハゲ″の大競演。つまり円形脱毛があちこちにできていたのです。
その姿にも、見るからに元気がありません。落ち込んでいるふうがありありです。
「Qさん、どうしちやったのよォ」と話しかけても、「ウー」とか「アー」と言うばかり。いっしょにやってきた飲み仲間の人が、横から説明してくれました。
「いやァ、Qチヤソ元気がないから頭でも刈ってさっぱりさせて、これからみんなで盛大に飲みに行こうって相談してんのよ。やっぱりQちゃんには、好きなビールを飲ませないとねえ」
「ヘーえ」
むろん私は興味しんしんです。さっそく根掘り葉掘りと、Qさんの近況を聞き出しました。そうするとQさんは、最近、ダイエットも兼ねて大好きなビールをやめ、日本酒チピチピ派に転向したというのです。それ以来、Qさんはすっかり元気がなくなり、ついには円形脱毛になってしまった・・というのがコトのいきさつでした。
Qさんがビールをやめたのは、特別、髪の毛のことを考えたわけではもちろんありません。お酒をちょっと飲みすぎて肝臓が悪くなりかけたのがきっかけだと思います。
おそらく、成人病検査かなんかで肝臓の数値が上がったのでしょう。
それと、「ビールはからだを冷やす。お酒を飲むなら、おカンをした日本酒のほうがいい」と、誰かに言われたのかもしれません。
では、本当に髪の毛とアルコールが関係あるかと言ったら、それはなんとも言えません。ただ、からだのためを考えれば、お酒をたくさん飲む人より、飲まないか、飲んでも少量で済ませられる人のほうがいいに決まっています。
肝臓病だって、お酒を飲まない人は肝臓病にならないといったらそんなことはありません。
Qさんはそれを、ピタリとやめてしまったのです。Qさんは、量で調節すればよかったのですね。日本酒だって、一日一合ならば一年365日、毎日飲み続けてもからだに影響がないとお医者さんも太鼓判を押しておられます。ウイスキーの水割りなら3杯、ビールなら大瓶一本です。
お酒を正しく味わいながら、楽しみながら飲んでいるぶんには、お酒も″百薬の長″です。古人のいうことわざの通りです。
毎晩、ピールー本が晩しゃくというのは、もう″趣味″のうちに入るでしょう。
ビールー本でその日一日の憂さを晴らせるのなら、大いに飲むべきでしょう。正しいお酒の飲み方なら、やめることはありません。そのためにうつ状態になってしまうのでしたら、逆効果以外のなにものでもありません。
食べ物も同じです。多くの健康本では、「あれもダメ、これもダメ」という禁じ手の多いものが流行しているようですが、私としてはやはり、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲む?この自然体こそ大事です。
すべて″とりすぎ″に気をつけて自然に生活し、自然に量の調整をしていくのが理想だと思います。
秋口になるとわかる、やっぱり帽子は髪に悪い
私たち床屋にとって、春・夏・秋・冬のシーズンの中で、お客様の頭髪にもっとも大きな変化があらわれるのが秋口です。すなわち、髪の毛の弱り、AGA(男性型脱毛症)の前兆となる薄毛、髪の毛の質の変化……などがもっと顕著になるのが秋口。私たちは秋口になるとそのことに気付かされるのです。
そういうお客さんたちを見て、私はあることに気付きました。というのも、そういうお客さんたちの多くが夏場の間中、ヘルメットや帽子で頭部をきっちりと締めつけられている職業の人たちだったのです。
ということは、お客様たちの髪の弱りは、ヘルメットや帽子にある……と断定せざるを得ないということです。
さきほどのナポレオンではありませんが、職業柄、いつも帽子をかぶっていないといけない人たちがいます。電車の駅員さんたち、プロ野球の選手たち、ハンバーガーショップの店員さん……。
オートバイの速配屋さんや、ピルの建築現場で作業する人々は、安全のためヘルメット着用が義務づけられています。
ヘルメットや帽子着用は、髪の毛に大いに影響します。なぜかといえば、頭髪が何十度という暑さによって蒸されるからです。汗と詣で頭皮も髪の毛もベタベタです。
外気温が33・8度のとき、麦わら帽子の中は40・3度、黒の学生帽は47・4度にもなるというデータがあります。熱いお風呂が41〜44度ですから、帽子の下
は蒸し風呂と同じような状態になっていると思われます。帽子をきっちりかぶった場合、気温25度以上で脱毛の影唇がみられ、38度以上で脱毛数が増加するという実験結果も出ています。
徳島医大の武田克之先生は、「頭皮には脂腺から出た脂肪酸が残っており、その脂肪酸やフケが毛穴にたまっているところを蒸されると、頭皮に住む細菌の繁殖に理想的な環境になる。その細菌群にょって毛穴がふさがれてしまうのが困りもの」と指摘されています。
この帽子をよくかぶる人は、瘀血になる率が高いといえるでしょう。根本的には帽子やヘルメットとは直接関係ないと思いますが、なにかほかの理由で瘀血体質になった人の場合、その瘀血状態の進行を早めてしまうという点で、大きな影響力を持っています。
それから帽子でもきつめのものをムリしてかぶっていると、おでこの一番肝心なところを締めてしまいます。頭頂部の周囲をきつく締めてしまうと、それだけで血管を圧迫し、血流を阻害してしまうことになります。
こうしたヘルメットや帽子着用にょって起こる脱毛を、機械的脱毛と呼んでいます。日本髪やポニーテールなどで、絶えず頭髪が引っ張られているときにも起こります。
警察官など、いつも帽子をかぶっている職業の男性にAGA(男性型脱毛症)が目立つのは、これが原因になるか、または促進させていると考えてよいでしょう。

側頭部の髪が伸びきらずに切れてしまうとき

Bさん(38歳)は、農業のかんがい工事の専門家です。政府の派遣で、アフリカで半年間農業指導を行なうため、現地に赴任しました。
Bさんも私の店の常連さんです。そんなBさんが帰国して、久しぶりに調髪に見えました。
「やぁ、ご苦労様でしたねえ。どうでした、アフリカ生活は?」
「いやア、それがとてもとても・・」
筆舌に尽くせない……といった表情で、Bさんは手を横に振りました。
やはり、毎日の食事に問題があったというのです。とくに瑕かったのは、緑黄色野菜の不足でした。つまり、ピタミソ不足が顕著です。
さっそくBさんを調髪台に座らせ、その頭髪の″点検″を行ないました。
Bさんの毛髪は、見た目には6ヵ月前とさほど変わってはいません。まだ毛の量も多く、黒々としています。でも仔細に点検してみると頭頂部には異常がないのですが、側頭部の毛がブツブツと断ち切れていたのです。
これは、下から生えてきた髪の毛が、十分に伸び切らないうちにプツッと切れてしまい、その切り口がギザギザになっている状態です。
これは深刻です。私、以前に「栄養状態が悪くなると、神経系統のホルモン分泌の働きが悪くなる」という意味のことを、ものの本で勉強したことがあります。
Bさんの側頭部の毛切れが、もしホルモン分泌の異常によるものだとしたら、これはもう床屋の手に負えるシロモノではありません。そこで私はBさんに言いました。
「Bさん、医者に診てもらったほうがいいと思うよ」Bさんもさすがに気になったのでしょう。さっそく病院に行ったそうです。
側頭部の髪の毛が伸びきらずに途中で切れてしまう、という症状のお客様は、Bさんの他にもときどきいらっしゃいますが、この方たちも、ホルモンバランスの乱れが原因ではないかと思われます。
髪、地肌を見れば内臓の調子までわかる
「お客さん、最近、胃が悪くない? いや、この調子だと、腎臓もイカレてるかもしれないな」
私がこう言うと、まずたいていのお客様は「エツ?」と、飛び上がらんばかりに驚いた表情をなさいます。
それはそうでしょう。医者でもない街の床屋に、突然内臓の話を持ち出されるのですから、それは驚いて当然です。そして、これがまた当たるのです。
「アレ? マスター、よくわかるね。実はそうなんだよ。最近おシッコ、チビリ出してねえ」?と、こんな具合です。
そこで私の″悪い虫″がうずき出します。なんでも聞いてやろう?という、ドン欲な虫です。
「で、お客さん、最近、どんな生活してるの?」
そうすると、みなさんがこう答えられます。
「最近、接待、接待でアルコール漬け、そのうえ、睡眠不足でねえ」とか、「ここんとこ上司と折り合いが悪くてねえ。人間関係でもうクタクタなんだ。すごいストレスだよ」、あるいは「女房が入院しちゃってねぇ。食事は店屋物ばっかり。最近、どうも食事が偏っちゃってねぇ」などと、胃が悪くなった原因はさまざまですが、やはりみなさん、急激に胃を悪くしているのでした。
そればかりではありません。「あ、胃袋? オレ、別にどこも悪くないよ」と答えたお客さんが、間もなく肝硬変で入院してしまった・・・・なんていう例もありました。いえいえ、私はなにも、当てずっぽうで言っているわけではありません。不和な鉄砲も数打ちや当たる……と言いますが、床屋の私にはそれなりの根拠があるのです。
では、私はどこを見ているか? それはお客様の頭皮を見ているのです。
髪の毛は″腎の華″とも呼ぱれるように、私たちの内臓ととても深いつながりがあるのです。
胃腸や肝臓、そして腎臓などに不調を抱えているお客様は、必ず、頭皮が酸欠を起こし赤っぽくなっているのです。
私はこの赤みを見て、お客様に忠告しているのです。
長い床屋の経験が、私にそのことを教えてくれたのです。