男性型脱毛症について理容室オーナーの話.2

理容室

男性型脱毛症について理容室オーナーの話.2

意外や意外、大丈夫な人ほど脂ぎっている

床屋にお客様がお見えになります。私たちは職業柄、まずサッとその髪の毛を見ます。健康な髪の毛は、ひと目見ただけでも、青竹のような張りとツヤ(光沢)が感じられます。遂に不健康な髪の毛は、カサついて見えます。
次に髪の毛に触わってみます。健康な髪の毛は、指の通りがなめらかで、ツルツルした感じがします。つまり、指への当たりがすごくいいのです。その点、不健康な髪の毛は、指をクシ代わりに通そうとしても指が引っ掛かってギシギシときしみます。
毛先もパサパサです。こういう髪の毛は要注意です。
髪に脂分が不足しているのです。
「なあんだ、脂分のことだったら、ベトベトしてなくて、サッパリしていて清潔なほうがいいではないか」とお思いになる方がたくさんいらっしゃることと思います。テレビのCMを見ても、「髪サラサラー」という宜伝文句がくり返し流れています。「脂ぎっている」「テカテカ」は、いま、一番嫌われるようですが、ちょっと待ってください。
この脂分をバカにしてはいけません。私の経験から言うと、AGA(男性型脱毛症)の人、薄くなりかけた人の髪の触り心地は、決まってパサパサで脂分が不足しているのです。
例えば、頭のてっぺんが薄くなり、白髪が増えてきたお客さんに白髪染めをしたことがありました。私としては、脱毛が始まり、髪の弱りだしたこの方に毛染めはしたくありませんでした。しかし、このお客さん、なかなか頑固で、私の言うことを聞いてくれません。しかたなく、染めることとなりました。
はたしてその結果はどうなったか……。
毛染めをするときは、時間をかけて、ゆっくりと染め液を髪の毛につけていきます。
当然、慎重に液をつけていくのですが、私のようなプロでも、ほんの少量の染め液が、頭皮についてしまうこともあります。そんな場合も、ふつうは、一度シャンプーをすれば、その頭皮についた染め液はきれいに落ちてしまうのです。つまり頭皮の上には、薄く脂分の膜が張っていますから、その脂分の上からついた染め液は、シャンプーで脂分といっしょに落ちるのです。
しかし、この方は違いました。頭皮に脂の膜が張っていないので、頭皮自体に染め液がついてしまったようなのです。この染め液を落とすのには、たいへん苦労をしました。そのとき、私は、こんりんざい、髪の弱った方の毛染めをするのはやめようと思ったのです。
また、AGA(男性型脱毛症)の人、薄くなりかけた人は、必ず脂分が不足していると確信したのです。
さて、それでは、正常な脂分とは、どの程度のことをいうのでしょう。脂分がありすぎるのも確かに考えものです。そこで、一定の目安をみなさんにお教えしましょう。
シャンプーから2日目で少し脂っぽく感じ、3日目でベタベタするくらいの脂分の出方が正常と考えてよいでしょう。くり返しになりますが脂っぽいことを気にするより、脂分が出なくなり、パサパサしてくることに、注意してください。

髪がしぶとい人は腹で息をしている

お客様のヒゲを剃るときは、横になってもらいます。そのときお客様のお腹の動きを見ただけで、そのお客様の髪の毛の将来が見えることがあります。
横になっていただくと、呼吸の度に、お腹が膨らんだり、しぼんだりする方と、胸が膨らんだりしぼんだりする方の2通りのお客さんがいらっしゃることに気付きます。
ただこれだけだったら、たいしたことはありませんが、なんと、これが髪の毛と、とても関連性があるのです。私のいままで見てきた限りでは、この呼吸の度にお腹が動くお客様の髪の毛はとても立派で、将来的にも、AGA(男性型脱毛症)になるようなことはほとんどないのです。
調べてみますと、これがいわゆる腹式呼吸というものだそうです。実際、私の店には、70歳になる常連さんがいらっしゃいますが、この腹式呼吸を自然と身
につけている方は、現在も頭だけは黒々としています。頭皮も青白く、健康そのものです。
ところが不思議なことに、45歳になるその方の息子さんはいま、日ごとに深まっていく″秋の気配″に悩んでいます。頭のてっぺんからAGA(男性型脱毛症)が確実に進行しているのです。
AGA(男性型脱毛症)は遺伝ばかりではありません。血行不良によって起こるAGA(男性型脱毛症)があります。親が健康な髪でも、生活ぶりによってAGA(男性型脱毛症)になる人がいます。この息子さんがそのロで、お父さんの腹式呼吸なんかバカにして実行しませんでした。
その上に不摂生な生活です。AGA(男性型脱毛症)始めたいまになってくやんでも、もう″後の祭り″です。腹式呼吸を実践されている人は、少なくとも私の店のお客様に限っていえば例外なくフサフサの髪の毛の持ち主でいらっしゃいます。
このように腹式呼吸はからだにたいへんいいものです。腹式呼吸による腹筋の緊張が自然とよい姿勢をつくり、肌の美容や、そして髪の毛にもいい影響を与えるのだと思います。腹式呼吸を日常的に行なっている人の髪の毛がフサフサ……の秘密がここにあったのです。

親のAGA(男性型脱毛症)が遺伝しない人の共通項

さてここでは、みなさんの気になる、AGA(男性型脱毛症)と遺伝の関係についてお話ししましょう。久しぶりに調髪に見えたWさん(30歳)が、すごく落ちこんでいます。話しかけても、上の空です。いつもは賑やかな人だけに、(何かあったナ?)とピンときます。
「ワーさん、どうしちゃったのよ。元気がないねえ」
私がわざと強い語調で言うと、Wさん、沈んだ声でこう言うのです。
「マスター。オレもついに年貢の納めどきが来たようだよ。おやじの二の舞いだよ。
遺伝だからしょうがないけどサ」
「遺伝って、頭のことかい?」
「そうさ、AGA(男性型脱毛症)だよ」
Wさんのお父さんは、見事なAGA(男性型脱毛症)頭の持ち主でした。ピカピカです。Wさんは、そんな父親のAGA(男性型脱毛症)が遺伝すると信じ込んでいて、そのため急激に元気をなくしていたのでした。
そこで私は言ってあげました。
「Wさん、それなら大丈夫だよ。お父さんのAGA(男性型脱毛症)は遺伝しないよ」
「エッ? ほんまかいナ?」 Wさんの表情に、みるみる血の気が増してきます。イキイキしてきました。
「でもマスター。床屋のマスターがなぜそんなこと言えるの?」
「床屋だから言えるのサ。お父さんのAGA(男性型脱毛症)は遺伝しないタイプなんだもの」
みなさん、冒頭で私は、「AGA(男性型脱毛症)には大別して2つのパターソがある」と申し上げました。「てっぺんタイプ」と「ひたいタイプ」です。
ここでちょっとおさらいをしておくと、「てっぺんタイプ」は、頭のてっぺん部分からAGA(男性型脱毛症)始めて広がっていく特徴を持っていて、これを「瘀血型AGA(男性型脱毛症)」と言います。
「ひたいタイプ」は、ひたいの生えぎわからAGA(男性型脱毛症)が広がっていく特徴があり、これを
「帽状腱膜型AGA(男性型脱毛症)』と称します。
そして、「てっぺんタイプ」は遺伝しません。「てっぺんタイプ」のAGA(男性型脱毛症)になる人は、例外なく強烈なストレスに見舞われている人や、睡眠不足、暴飲暴食など、日常生活に欠陥を持っています。そのため頭皮への新鮮な血液循環が不足し、よくなった血液がよどんでしまっているのです。
Wさんのお父さんは、私の店の古い常連です。だからこそ私にはわかるのです。Wさんのお父さんは、頭のてっぺんからハゲてきました。典型的な「瘀血型AGA(男性型脱毛症)」
でした。だから遺伝しません。それをWさんは(てっきり遺伝!)と思い込んだのでした。
そこでさっそくWさんの頭を拝見すると、頭皮が赤茶けています。頭皮の酸欠の始まりで、明らかに「瘀血型AGA(男性型脱毛症)」の特徴を示しています。そのため髪の毛は弱々しく、薄さが目立っていました。若ハゲ寸前です。
こんなWさんは、私にとってはちょうどいい研究材料。つまり私の″モルモット″ちゃんです。そこでさっそく″取材″を開始しました。遺伝しない「てっぺんタイプ」のWさんが、なぜこんなに髪が薄くAGA(男性型脱毛症)かけてきたのか? その原因を探るのが私の″勉強″です。
そして原因がわかりました。Wさんも「癒血型AGA(男性型脱毛症)」の定番コースです。Wさんは建築機械のリース業を営んでいますが、サラリーマソをやめて独立し、会社の経営に乗り出したばかり。得意先の開拓や資金繰りの苦労などで、強烈なストレスと不摂生な生活、そして疲労の蓄積の中にありました。こんな生活ぶりが、遺伝性のない「瘀血型AGA(男性型脱毛症)」の温床になってしまうのです。
さて、これまで述べてきましたように、父親が生えぎわからAGA(男性型脱毛症)上がるタイプ(帽状腱膜型)でなかったら、あなたはひと安心です。なぜなら、頭頂部からAGA(男性型脱毛症)始める「瘀血型AGA(男性型脱毛症)」なら遺伝しないからです。
ところが多くのみなさんが、「帽状腱膜型」と「癒血型」をいっしょくたにお考えになっているようです。
父親がAGA(男性型脱毛症)になっているというだけで、おびえている人がいます。
もっとひどい心配性の人は、父親は髪の毛が黒々フサフサしているのに、祖父がツルッパゲだというので気に病んでいます。
それはもう、毛にハサミを入れるときも洗髪をするときも、なにかと注文が多いのです。濡れた髪をタオルで拭き取るときでさえ、強すぎるのなんのと文句をつける方もいらっしゃいます。
もちろんタオルの使い方だって髪に影響します。私も洗髪したお客さんの頭をふくときは気を使っています。どうやって拭くかは、これも後ほど、詳しく述べます。
一方、こういう例もあります。
Aさんは40歳。アメリカの大学院を卒業して外資系投資顧問会社のディーラーになりました。債権や株、そして為替のディーリング(売買)はまさに生き馬の目を抜く世界と聞いています。たった一円の違いで巨額の利益が出たり、巨額の損失をこうむったりするということです。
電話やファックスにかじりつき、コンピューターを操作して世界中の市場の値動きに反応します。
一瞬たりとも気の抜けない職業なのでしょう。以来15年。ストレスと不摂生な生活で、Aさんのおツムは見事に光り輝いています。ところがいま68歳のAさんの父親は、いまでも頭皮はあくまでも青白く、髪の毛はフサフサ。帽状腱筋もやわらかくて、硬質ゴムの弾力性を保ち続けています。健康的で若々しさに満ちています。
いったいどこが違うのか。お店にいらしたとき、何気なくいろいろ聞いてみました。すると、どうも食べ物が関係するようなのです。
Aさんのお父さんは、タンパク質を中心に、また、好き嫌いなく緑黄色野菜もたくさん含んだ食事を摂っていたのでした。
さらにひじきや豆腐も大好きでした。お酒は飲みますが飲みすぎず、″百薬の長″にしていたのです。しかもおつまみはお豆腐やわかめ中心の海草サラダ……。まさに理想的です。
さて、おわかりでしょうか。このように、AGA(男性型脱毛症)と遺伝は必ずしもイコールではないのです。お父さんは髪の毛フサフサでも、息子さんがAGA(男性型脱毛症)るケースはいっぱいあります。遺伝するAGA(男性型脱毛症)は、「ひたいタイプ」のAGA(男性型脱毛症)だけなのです。

抜け毛の先っぽで悪性の円形脱毛かすぐわかる

円形脱毛症は、一般に強いストレスがかかったときなどに発生し、そのストレスがなくなると自然に治るというのが″常識″とされています。
でも安心はできません。円形脱毛症の中にも、放っておくと頭全体に次々と広がっていく可能性のあるものがあります。いわゆる悪性の円形脱毛です。
これを見分けるのが抜け毛の診断です。顕微鏡で戮けば誰にでもわかるのですが、抜け毛の先(根元)がスパッとハサミで断ち切ったようになっていたら、これは悪性です。
表皮の下の真皮には、毛包(毛のう)や汗腺などがあり、さらにその下の皮下組織には、血管やリソパ管、神経が通っています。髪の毛の成長にとってもっとも大事なのが毛包で、ここに毛根や毛球が含まれています。
そしてこの毛球と毛乳頭がしっかり結びついているために、毛を引っ張っても簡単には抜けないようになっています。ムリに引っ張って抜こうとすると、当然、痛みを伴います。
では、ムリに抜かないのに自然に抜け毛が出るというのはどういうことでしょう?
ものの本によると、毛母細胞の増殖は、成長、退行、休止、の3段階をくり返しています。成長が止まると毛は毛母細胞を離れて毛包の中を上に移動し(退行期)、抜けていきます(休止期)。続けて新しい成長期が始まりますが、この3段階を総称して毛周期(毛の周期、毛の一生)と呼んでいます。成長の止まった古い毛が抜けてくれないと、新しい毛が成長しないのです。
「じゃあ、その毛周期が一致したら、頭の毛はいちどきにゴッソリと抜けてしまうのではありませんか?」と、そういう質問をお客様から受けたことがあります。
これはまさに″造化の妙″と言うしかないのですが、この毛周期は、毛の一本一本(毛包の一個一個)によってバラバラなのです。すなわち、抜ける髪があれば生える髪もある。そのため、私たちの髪の毛の総量はほぼ一定して増減がありません。
人間の毛髪は、総数が10〜15万本あると言われています。頭皮一センチ四方の中にだいたい150本、という勘定です。そして自然に脱毛していくのが一日に70〜80本です。
ところが円形脱毛症になるとこのバラソスが崩れ、隣り合った毛包同士で一度に成長が止まり、退行、休止期に入ってしまいます。この場合、抜け毛に毛根が
ついているものと、前述のようにハサミでスパッと切ったようなものと2種類が発生します。この後者の場合は、毛母細胞自体に異常が発生し、もはや新しい毛が生産できない状態にあることを示します。悪性なのです。AGA(男性型脱毛症)につながる可能性が大きいのです。
このように、いわゆる″10円ハゲ″(円形脱毛)は、抜け毛の先っぽを見ることによって判断できるのです。

円形脱毛症に悩む女性にいつも言うアドバイス

最近は女性の社会進出というのがはやっています。女社長になったり、地方議会の議員になったり……。
それはそれでたいへん結構なのですが、その反面で″弊害″というものも出て来ます。人間関係の悩みや、資金繰りの悩み、人を雇う人事上の悩み・・。それは男と同じ。そしてその結果が円形脱毛症です。当然、そういうことが私にはわかります。そこでご注意申し上げるのですが、なにしろ相手は偉い女先生ですから、私の言うことなど鼻もひっかけません。なかには「なによ、アンタ、失礼な!」と怒る人もいます。
あるいは私のことを紹介した新聞記事の切り抜きをもって見える方もいます。その女性がなにを言うかというと、「アンタは私の円形脱毛を治す義務があるねんで」とこうです。これでは私も困ってしまいますが、せっかく来てくださったわけですし、私も親身になって相談にのっております。
女性の円形脱毛症の場合はとくに、男性よりもストレスが強く、強度の瘀血状態に入っていると想像できます。だって女性特有のホルモソで、第2次性徴として髪の毛がフサフサとたわわに伸びるのが当たり前だからです。
ところで、円形脱毛症の方の頭皮を拝見すると、こちらもやはりその部分だけポッカリと赤茶けています。なんらかの理由で、その部分に集中して血液の滞留が起こったと考えられます。
放っておくと、赤茶けた部分がどんどん周囲に広がってしまいます。だから円形脱毛に気付いたら、即刻、回復の手を打つことが必要です。
フィンコムとマッサージによってまずうぶ毛が生えます。そのうぶ毛が缶娠に変わります。たいていの人はそこでガッカリします。″ああ、やっぱりダメか・・″と。
でもこの白髪は回復過程なのです。だからあきらめてはいけません。白髪のあとから、今度は細い髪の毛が生えてきます。なんとなく栄養不足で弱々しく見えますが、この細い髪が生えてくるようになったらもう万々歳です。あとは一気に、元の黒々とした髪の毛が戻ってきます。「円形脱毛よサラバー」です。

洗髪、リンス、整髪剤

「皮脂の取りすぎ」、「皮脂出口をふさぐ」手入れは致命的
最近は年配者よりも若者のほうが髪の毛についてナーバスになっているようです。
「シャンプーのたびにかなり抜けるんや。どないなってんのやろ、おっちゃん」とか、「やだア。地肌が透けてきちゃったア」と女の子が相談に駆けこんできます。「おっちゃん、オレの薄毛、遺伝とちゃう? いつAGA(男性型脱毛症)になってしまうのやろ」などという相談もあります。
私たち床屋にとって、この現象はとてもうれしいことです。だって、みなさんがそれぞれ髪のヘルス・ケアーに気を使っていただき、そのおかげでAGA(男性型脱毛症)や薄毛がなくなってくれれば、私たち床屋は商売繁盛、「笹持ってこい」ですから。
ただ、お客様自身のヘルス・ケアーで一番間違いが多いのがシャンプーです。シャンプーの種類、一回に使用する量、そしてシャンプーのやり方など、多くの方が間違った選択をして、そのためにみすみす髪の毛にダメージを与えているケースが多いからです。
スーパーでは、たくさんの種類のヘアー用品が売られています。シャンプー、育毛トニック、スプレー、ムース、ジェル……。シャンプーひとつとってみても、製品によってその質には微妙な差があります。
シャンプー自身に問題があるケースもあります。最近のシャンプーには、リンスやトリートメントの成分がたっぷり入っているものがあります。それはそれで正しいのです。でもそれを常用していると、かえって逆効果になってしまうことがあります。
リンスもトリートメントの成分も、簡単に言ってしまえば、髪の毛を油の膜で包み、なめらかに水分を保つものです。だから髪自体の健康には、とても効果的であると言うことはできます。
しかし、シャンプーというのは髪の毛だけではなく頭全体を洗うもの。必然的にシャンプー液は頭皮にもついてしまいます。するとこれはたいへんです。頭皮自体も油の膜で包んでしまうことになるのです。本来ならば、頭皮からは、自然に脂が出てきて油膜をつくり、そしてその脂が髪の毛まで広がり、コーティングしているのが正常な姿なのです。
この作用をリンスとトリートメント成分でできた油膜は阻害してしまうのです。
私がここまで、くり返し述べてきたとおり、髪にとって皮脂とは、とても大事なものです。
「皮脂を、汚いもの、腸封ものと扱わないでください。皮脂は大事なものなんです」
とお店でも、何度となくお客さんに言ってきました。この皮脂の出る所である頭皮をふさいでしまうようなシャンプー液は使用しないほうがよいでしょう。
次に使用する量です。これが問題です。2倍の量を使えば、頭髪の汚れが2倍落ちるか?といったらそんなことはありません。むしろ″量の副作用″で髪の毛にとっては害になってしまいます。
シャンプーは、汚れを取る力は抜群です。でも食器洗いに使う洗剤と同じくらい強力なものだと考えて、使いすぎには気をつけましょう。2度洗いをしないと気の済まない人は、シャンプーを2倍に薄めて使うことです。
それから、洗髪の回数の問題もあります。これらが適正に行なわれた上で、さらにシャンプーに対する考え方を変えなけれぱなりません。
つまり、汚れを落とすシャンプーから、髪の毛の手当てのためのシャンプーへの切り換えです。
具体的に言いましょう。″手当て″と言うくらいですから、シャンプーするときには、両手の指の腹で頭皮を軽くマッサージしてやる気分……。これです。大切なのはマッサージとしてのシャンプーです。このマッサージのしかたについては、以下で述べていきましょう。
このように、シャンプーはそのやり方によっては思わぬ″副作用″をもたらしてしまうことがありますから要注意です。
シャンプーのやり方を間違えてしまうと。せっかくの効果もかえって害になるケースはいくらでもあります。

シャンプー前のオリーブオイル、これが頭皮を守る秘密

私たち床屋は、お客様の洗髪のとき、指の感触で勝負します。というのも、最初にお湯をかけて軽くすすぐとき、5本の指を開いてお客様の頭髪の中にスーッと通すのです。
ここでなんのひっかかり感もなくスーッと通れば、その方の頭髪は健全です。遂にギスギスとひっかかるようなら、その方は要注意です。まして抜いた指に抜け毛がひっついてくるようなら、その方の髪の毛のダメージはかなり進行しています。放っておいたら、すぐAGA(男性型脱毛症)です。もう一直線。
でも大丈夫です。ちゃんと方法があります。
そういうお客様には、私はまずオリーブオイルを使うのです。これは、床屋のプロとしての私の″企業秘密″です。
つまり、こういう方は皮脂が不足していますから、そのままシャンプーを使うとさらに皮脂まで流してしまうことになります。そこでシャンプーの前にオリーブオイルを頭皮にすりこんでやるのです。こうすると、順皮の皮脂はたっぷりとなり、シャンプーで流しても必要な量が残ります。
オリーブオイルの必要のない方の場合は、シャンプー前にお湯すすぎを行ないます。
洗髪の基本は、まずお湯だけで先によくすすぐことです。これだけで汚れの半分以上は取れます。最初にお湯で十分に流すのです。その際も、お湯の温度は、あまり刺激がないように、ぬるめにしておいたほうがいいでしょう。
それからシャンプーを使います。これは順に直接つけず、まず手のひらに取ってから髪の毛にまんべんなく行き渡るようにつけます。
量は、できるだけ少なくすることです。そのためには、シャンプーは一度につけずに、面倒でももう一方の手の指に少しずつつけて頭髪の前側、左右の横側、てっぺん部、そして後頭部と何度もつけましょう。男性はどうしてもパッパッとシャンプー液を順につけがち。最近はポンプタイプのシャンプーが増えてきたのであまりしないでしょうが、なかには、直接、塩、コショウするようにボトルからふりかける方もいるようです。これはいけません。
それからいよいよ最後の仕上げ。両手の指の腹を使って、ゆっくりと丹念にマッサージをしながら洗います。
そのときの注意は、決してツメを立てないことです。ツメを立ててマッサージすると、順皮に傷がつきます。そこにバイ菌がつき、カサブタになったり、悪くすると化のうしてしまいます。指の腹を使って、じっくりマッサージするのです。
指の腹マッサージは、まず側頭部から始めます。
左右両方の側頭部から、指を小刻みに上下させてマッサージしながら、頭のてっぺんまで上へ移動させていきます。
次は後頭部です。後頭部も両手を使いましょう。親指以外の4本の指の腹を使って、後頭部の真ん中に引いた縦のライソヘ向かって左右にジグザグにマッサージしながら、頭のてっぺんまで移動していきましょう。前頭部も、生えぎわより頭頂へ向かって小刻みにマッサージしながら、頭のてっぺんまで移動していきます。そして最後に、いよいよ頭頂部です。頭のてっぺんをマッサージします。
ポイントは頭の一点です。ツボでいうところの「百会(ひゃくえ)のツボ」と、「上星(じょうせい)のツボ」を、中指の腰で丹念に押してやります。
「上星のツボ」とは、前髪の生えぎわの中心から、上へ約2センチほど上がったところです。また、百会のツボとは、最初のほうでもご説明しましたが、頭のてっぺんを通って両耳を結ぶ線と、顔の中心と頭のてっぺんとを結ぶ線とが交差するくぼんだ部分です。
以上が正しい洗髪マッサージのやりかたです。では、どうしてこんなめんどうくさい順序でマッサージをするのでしょうか。それは1にも2にも、頭部(頭皮)への血液循環をよくするためなのです。
むろんラクな作業ではありません。指も腕も疲れます。でも洗髪でもっとも大事なのがこの作業です。根気よくやりましょう。ものぐさなお客さんたちは、「マスター、どれくらいの時間をかけてやればいいんや」とよくお聞きになります。
私もこれには困ってしまいます。本来、長い時間をかけて、ゆっくりやればやるほと、いいからです。
どうしても時間を教えてくれというお客さんには、最低でも5分はやってほしいとお答えしています。そんなことからも、時間のない朝シャンなどではなく、夜、あとは寝るだけの体制を整えてゆっくり入浴し、じっくり洗髪に時間をかけるのがベストです。
「めんどうだ」とこの頭皮マッサージを省略すると、あなたを待っているのはAGA(男性型脱毛症)地獄……なんてね。
そして洗髪が済んだら、髪がパサついている人の場合は最後にもう一度、オリーブオイルかヘアクリームを軽く髪全体にすりこんでおきましょう。ここまでやればあなたのヘア・ケアーは万全です。

「フケも取りたい、AGA(男性型脱毛症)たくない」ならこの手

フケが出て困るという人は、たいていの場合、シャンプーの使いすぎによってかえって肌を痛めている人が多いものです。
フケ症の方は、洗髪の前にオリーブオイルか.ヘビーオイル、できればツバキ油を頭皮によくすりこんで、それをお湯でいったんよく流してから、改めてシャンプーを使うのがよいでしょう。こうすると順皮を痛めません。
ところがそれがめんどうだというので、すぐ″フケ取りシャンプー″に頼る方がいらっしやいます。これはちょっと考えものです。
なぜかというと、このフケ取りシャンプーには硫黄分が入っています。この硫黄分が、古い頭皮をとかしてしまうのです。硫黄分の入った温泉は、肌をきれいにしますが、これも、肌の表面の老廃物をとかしているから、入浴後にツルツルとなめらかになるのです。
しかし、頭皮はちょっと違います。つまり顛皮にとっては効果が強すぎるのです。
古い頭皮というのは、つまりフケの元のことです。そこで頭皮の角質層がフケにな
ってはがれる前に、フケの元ぐるみ溶かしてしまおう?という薬剤です。
したがって一度目はよく効きますが、しだいに効き目がなくなってきます。フケ取りシャンプーは常用せずに、一ヵ月に一度くらいにしておいたほうが賢明です。
実は私には、こんな笑えぬ実話があるのです。
ある施設(学校)に、散髪の奉仕に行ったときのことでした。子どもたちの頭を見ると、みんな一様に頭皮がガサガサになっているのです。これにはもう、びっくりしてしまいました。
全寮制のその学校では、子どもたちにフケが多いので、フケ取りシャンプーを全員に使わせているということでした。それもよく汚れが落ちるだろうと、シャンプー原液のまま薄めずに使っていたのです。これでは顛皮はたまりません。そのシャンプー容器にはちゃんと、「2倍に薄めて下さい」と書いてあったのに、指導係の先生がそれを無視してしまったのです。そのため、よくフケが落ちて汚れもなくなるはずが、反対に子どもたちの頭は湿疹だらけ
になってしまったのでした。
私がそのことを注意してあげて、それから1ヶ月ほどしてもう一度行ってみると、子どもたちの湿疹はすっかり消えていました。先生の親心がかえってアダになったひと幕でした。
とにかく、シャンプーを使う前に一度お湯で洗っておくと、シャンプーは小さじ一杯程度で十分に洗髪効果が出ます。それでいいのです。
さらに、もうフケが出なくなった後もフケ取りシャンプーを使い続けている人がいます。フケ取りシャンプーがまだ残っているのでもったいない、同じシャンプーなんだから問題はないだろう・・と使い続けるのです。
これはもうたいへんです。頭皮はそれこそカサカサになってしまい、AGA(男性型脱毛症)という奈落の底ヘー直線です。かえって血行を阻害してしまいます。

毛先を守るためのリンスが頭皮を窒息させている

いま、化粧品メーカーは、シャンプーとリンスをセットで売っています。とても宜伝上手です。買うほうは、シャンプーをしたらリンスをしないと、髪の毛に悪いというイメージを持ってしまいました。
さらに最近では、リンス入りシャンプー、トニック入りシャンプーなどというのも売られるようになりました。
また、化粧品メーカーは、シャンプー、リンスのあと、さらにトニックをつけることをすすめています。
そして外出のときは、その上からさらにリキッドやムースを使います。ここがおかしいのです。使いすぎです。化粧品メーカーの宣伝にすっかりのせられてしまっているのです。
私に言わせていただければ、先ほども言ったことですがリンスは不要です。というのも、リンスの成分を見ていただければわかりますが、リンスは髪の毛から
頭皮に落ちて、頭皮に油膜を張ってしまいます。そのあとからトニックをつけても、油膜にはばまれて頭皮に浸透せず、効き目が出ないのです。
リンスそのものが悪いというのではありません。リンスを使うのなら、そのあとからトニックを使ってもムダになる、トニックを使うのなら、リンスをしない
ほうがいい?そういうことです。それに、リンスでできた油膜には、空気中のホコリや汚れ、細菌などがつきやすくなります。すぐベタベタしてきます。気持ちが悪いので、すぐまた頭を洗いたくなります。そしてシャンプー、リンス……。毎日洗髪しないといられなくなります。もう悪循環です。化粧品メーカーを儲けさせているだけです。
もともと、頭皮には皮脂腺とか汗腺が出ていますが、油膜でこれを覆ってしまうと、汗が出なくなります。頭皮が呼吸困難になってしまいます。
というわけで、私の店ではリンスは使いません。それでもリンスを使いたい方は、毛先にだけつけるようにすればいいだろう、とか、使ったあと、頭皮を念入りにお湯ですすげぱいいだろうとお考えになるかもしれません。しかし、そのようなやり方も実際無理です。
毛先にだけつけようとしても、必ず頭皮に少量はついてしまいますし、また、一度ついたらいくらお湯ですすごうと、すぐには落ちません。第一、そんなことですぐ落ちてしまうリンスだったら、髪につける意味がないじゃないですか。みなさんも、日頃の洗髪時にはリンスは使わないほうがよいと私は思います。また、トニックシャンプーも、私の店では使いません。ミントや頭皮がことのほかスーッとするものなど、刺激物が入っているからです。
シャンプーとリンスがいっしょになっているものも使いません。リンスの代わりには、オリーブオイルをシャンプー前に使っていれば十分です。それでもリンスを使わないとパサパサだという人は、洗髪後にヘアクリームをつけることをおすすめします。

シャンプーの種類と抜け毛は無関係

シャンプーには、高価なものから安いものまで、いろいろありますが、汚れを落とすという一点では同じことです。高価なシャンプーには、いろいろと付加価
値がついて、女心をなんとなくくすぐっているだけです。
私は最近、米ぬかシャンプーを使っています。高いものから安いものまで、いろいろと使って試してみた結果、ここに行き着いたのです。
江戸時代の″石けん″は、米ぬかでした。米ぬかを袋に詰めて、それでゴシゴシとからだを洗ったのです。金持ちの商家の奥さんなどは、うぐいすのフンを石けん代わりに使ったと言います。
それを真似したわけではないのですが、いろいろと試行錯誤した結果、現在の米ぬかシャンプーに至ったわけです。これはとても安いものです。それをさらに薄めて使います。いえ、儲けようというわけではありません。お客様の髪のことを考えると、そこに行き着いてしまうのです。
ちなみに、「石けんで洗うのは髪の毛に悪い」といった″迷信″が広まっているようです。シャンプー時代に生まれ育っている人たちにとってはそれが″常識″
なのでしょう。
昔,の人は、石けんしか使っていませんでした。そこでいまどき石けんで頭を洗っていると、「なんや、あのオッさん」と若い人が笑います。
とんでもありません。終戦直後の苛性ソーダ入りの粗悪な石けんならいざ知らず、最近のような質のいい石けんなら、シャンプーで洗おうと石けんで洗おうと、神経質になることはありません。石けんひとつで十分役に立ちます。
大事なのは、″刺激が強すぎないこと″です。ですから、洗たく用の石けんでは困りますが、上質の石けんならなんの問題もありません。
頭皮や髪も体の一部です。体を洗う石けんで頭を洗ってもなんの問題もありません。
ただ、洗髪後、髪がパサパサするようでしたらヘアクリームをつけておきましょう。
これで万全です。

よく泡立つ床屋のシャンプーには秘密がある

たいていお客様がいらっしゃると、私ども床屋はまず霧吹きを使って髪の毛をしっとりと漫らせます。これはただ、散髪をやりやすくするため、髪の流れを見るためだけではないのです。
実はシャンプーヘ向けての下準備なのです。これでフケや汚れを浮き出させておいて、シャンプーを使うのです。こうすれば、より効果的に汚れをとることができます。
みなさんがご自分でシャンプーをなさるときは、霧吹きなどお持ちではないでしょう。ですから私は言うのです。念入りにシャンプー前に、お湯ですすいでくださいと。
ただ単に、シャンプーがなじむのに必要最低限だけ濡らしてすぐシャンプーにうつる、ということはしないでください。ゆっくりと時間をかけてすすぐのです。こうすれば、あなたのシャンプーも効果的になります。
それから、ある日お客様からこんな質問を受けたことがあります。
「床屋さんのシャンプーというのは、ようけ泡が立つのう。なにか特別なシャンプーでも使っておるんかいな」
答えは簡単です。業務用のシャンプー原液を、濃い目に使っているだけです。特別に泡立ちのよいシャンプーを使っているわけではありません。
床屋の立ち場から申し上げますと、これには2つの理由があります。一つは、泡立ちをよくして、いかにも特別なシャンプーを使っているかのような錯覚(?)を与えることです。いわば、″床屋のパフォーマンス″の一つです。
そしてもう一つは、シャンプー液が薄すぎると、頭から耳、首へと流れ出してしまいます。そこで濃い目にして、すぐ泡立たせてしまうわけです。
私の場合は、ご常連さんによって髪の毛と頭皮の具合がわかっていますから、それぞれに応じてシャンプー液の濃淡を調節しています。でも原則として薄目です。

マッサージはいいが叩くのはダメ

髪のケアーにとって、マッサージはとても大事な要素です。
洗髪と同時にマッサージするのはもちろんですし、ちょっとあいた時間を利用してこまめに頭皮をマッサージしてあげることもとても効果的です。
ところで、みなさんの中には、このマッサージでラクをしようと、指の代わりに硬いブラシを使う方がいらっしゃいます。
ブラシを頭皮に強く押しつけて、ゴシゴシとかきむしります。これはよくありません。せっかくの毛根を潰してしまうだけです。
ブラッシングというのは、髪の毛の根元にしみ出している皮質を毛先まで均等に伸ばしてツヤを出し、毛の流れを整えるためのものですから、マッサージの代用にすること自体が間違いなのです。
ましてや、ブラシで頭皮を叩くのは愚の骨頂です。
以前あった話ですが、ブラシで叩く発毛法が、なにかと話題になったときのことです。
ブラシで頭皮を叩けば髪の毛が生えてくる、と言われればそりゃ、誰でも真剣になります。
叩けば叩くだけ生えてきそうな気になっていっそう一生懸命やるのが人情というものです。
うちのお店にいらっしゃったお客様の中には、そのおかげで頭皮を真っ赤にしてしまった方がいらっしゃいました。
髪の毛が生えるどころか、病院通いの始末です。
このように、ブラシで叩くなどというのは、髪の毛と頭皮をいためるだけでしかないとお考えください。

ドライヤーは「弱風でやさしく」「熱風で一気に」のどっちか

洗髪のあとの乾燥にも注意が必要です。
少なくとも髪の毛の手当てを考えるのなら、乾燥にも気をつけなければなりません。
まず、ふつうは洗髪後、タオルを使って水を脚きます。このときも、無造作に拭くのではなく、タオルに手のひらを当て、マッサージするように軽く回しながら、下から上へ、側頭部から頭のてっぺんへ向かって優しく拭き上げるのです。十分に拭き終わったあとは、自然に乾燥するか、ドライヤーを使うか
です。急ぐときはもちろんドライヤーですが、時間があるときも、自然乾燥よりドライヤーの使用を私はすすめています。
理由は、指やクシを使いながらドライヤーをかけることで、髪の毛の一本一本がピンと伸びます。つまり″姿勢のいい″髪の毛になるのです。こうすると、寝グセもつきにくくなります。
ただし、ドライヤーのかけ方にはコツがあります。ドライヤーを頭皮に直接当てず、髪の毛だけに当てるようにします。頭皮に直接当てると、皮脂まで飛んでしまって、髪の毛に潤いがなくなってしまいます。
それから、ドライヤーはだらだらと長時間かけずに、手早くやることです。そのためにはできるだけ大き目の、強い風が出るドライヤーのほうが向いています。小型のドライヤーは送風力に限界があり、したがって乾燥に時間がかかってしまうからです。
時間をかけると、せっかくの水分が蒸発しすぎてカサついてしまうのです。
それから風は1カ所に集中せず、つねにまんべんなく髪の毛全体に行き渡るように当てるのがコツです。
乾燥後の整髪料には、私はヘアークリームを髪全体にいきわたるようにつけています。トニックもリキッドも使っていません。刺激が強すぎるのと、洗髪で皮脂を落としたあとですから、少し油っ気の強いものを使いたいのです。