さまざまなAGA(男性型脱毛症)治療

男性型脱毛症AGA

さまざまなAGA(男性型脱毛症)治療

男性型脱毛症に効く? 自然療法①

できれば体にクスリは入れたくない、と思っている人は案外多いようだ。ことに、子供のうちは、という親御さんが増えてきているように思う。
しかし、やはり人間、病気になればクスリに頼らざるを得ない。そこで、できるだけ化学薬品でなく、自然のものを使って治療しよう、と考える。AGA(男性型脱毛症)治療に関しても同様で、髪は欲しい、しかし化学薬品は……と悩んでいる人も多いだろう。ここでは、自然のなかで男性型脱毛症に効果があると思われるものを取り上げてみた。
ニンジン
ニンジンといっても、野菜のあのニンジンではない。野菜のニンジンも緑黄色野菜でβカロチンが大量に含まれ、髪にいいのだが、ここでいうのはオタネニンジン、俗にいう朝鮮ニンジンのことである。
昔から朝鮮ニンジンは万能薬として珍重されてきた。漢方薬は基本として、数種類の生薬を配合してつくるのだが、ニンジンのみは、それ一種類だけで「独参湯」という処方があるくらいだ。だから、漢方薬店へ出かけても、たいてい、店頭に、大きな朝鮮ニンジンがアルコール潰けになったりして飾ってある。
基本成分はパナキシノール、ジンセノサイドなどで、強壮剤、強心剤などとしての効果があるが、実はこのニンジン、髪の毛にもいいということがわかってきたのである。
昔からいわれてきたのは、ニンジンには白髪を黒くする効果がある、ということだった。
これはニンジンの持つ、若返り作用によるもの、とされていたが、現在の研究では、漢方薬としてのニンジンには頭皮の細胞を活発化させ、栄養がいきわたるようにすること、そして、何より補水といって、細胞を常にみずみずしく保つ効果があることがわかっている。それゆえに、現在発売中の育毛剤のなかにも、ニンジンを成分として含有させたものが出回っているのである(ただし、使われているのは朝鮮半島産のオタネニンジンではなく、日本産のチクセツニンジン)。
家庭でニンジン療法をおこなう場合、ニンジンをひとつかみ(三、四グラム)をお碗二杯の水で煎じて、水の量が三分の一程度になるまで煮詰める。これをシャンプーするとき、リンスするとき、洗剤やリンス剤に混ぜて使うのである。一回使っただけでもう、髪の毛がしっとりしてくるのがわかる。それから、ジワジワとニンジンの成分が髪に染み込み、栄養を与え、弱った毛根の細胞を活性化してくれる。
ニンジン特有のニオイが強いのが難といえば難だが、AGA(男性型脱毛症)る心配に比べればそんなことは気にするに足りない。さっそく試してみてはいかがだろうか。なお、ニンジンを漢方薬店で買う場合、ハクジンかコウジンかと訊かれることがある。ハクジンはニンジンの皮を剥き、ヒゲ根をとって干したもの、コウジンはそのままをいっぺん蒸し、そのうえで乾燥させたもの。コウジンのほうがお値段はずっと高いが、効果はこちらのほうがあるようだ。

AGA(男性型脱毛症)に効く? 自然療法②

ショウガ
ショウガは漢方では生姜(ショウキョウ)と呼ばれ、消化器官の働きを改善し、疲労を回復させ、新陳代謝を高める働きがあるとされている。
ショウガをニグラムほど、カップニ杯の水で煎じ、半分の量になるまで煮詰め、冷ましてこれをシャンプー、リンスのとき、洗剤やリンス剤と混ぜて使う。スッキリして、実に気持ちがいいのがわかるだろう。
ショウガにはニンジンのように、髪を生えさせる効果はあまり期待できないが、血行をよくし、フケを出さないようにする効果があるので、結果的に育毛を助ける働きをする。また、髪の色ツヤがよくなり、髪を生き生きとさせる効果がある。
センブリ
センブリは昔から民間薬として日本人に愛好されてきた植物である。ただし、愛好といっても、その味は極めて苦く、ムスッとした顔の形容に、「センブリをなめたよう」
というのがあるくらいだ。苦みがあるということからもわかるとおり健胃剤で、消化機能をよくする働きがある。ほかにも消炎、解熱、また駆虫薬としての効果もある。健康食品の店や薬局に行けば、大袋入りのものが大変安く買える。このセンブリが髪の毛に実に効果がある、というのだからおもしろい。
もともと、消炎作用のあるセンブリは皮膚のためにもよく、昔は化粧品にもこのセンブリが使われていたという。
センブリの葉を三〜四グラム、カップニ杯の水で煎じ、半分の量になるまで煮詰める。この液を漉して、シャンプー、リンスのときに混ぜて使う。
髪の毛が抜けるような場合、頭皮に炎症が出ていることが多い。センブリは、この炎症を鎮め、頭皮を正常な状態にもどす。また、毛根などに付着している雑菌を殺す働きももっている。
そして、頭皮のなかの老廃物を除き、頭を清潔にする働きをするのである。
レモン
女性は昔からなぜか、レモンがお気に入りだ。紅茶もどちらかといえばミルクティーよりレモンティーを好む。食べるだけでなく、さらにお肌に直接ハリつけてレモンパックなどをする。レモンにはビタミンCが豊富に含まれている。ビタミンCは過酸化物質が体に蓄積されるのを抑え、老化を防ぐ働きがあることから、髪にも効果があると考えて、シャンプーなどに配合されている。
しかし、確かにレモンは食べれば効果があるが、実際に皮膚につけた場合、皮膚を傷める可能性が大きい。ことに産毛などはレモンの汁をつけるとすぐ抜けてしまう。髪は産毛と違ってすぐには抜けたりしないが、それでもあまり頭皮や髪の毛には直接つけないほうが無難だろう。

AGA(男性型脱毛症)に効く? 自然療法③

お茶
お茶が髪に効く、といっても、お茶をガプガプ飲んで髪が生えるということではない。また、ここでいうお茶はウーロン茶である。中国人が、かなり油っこい中華料理を三度三度食べても太らないのは、ウーロン茶で油分を流してしまうからだという。
これを聞いて、ならば、頭の脂質を洗い流すにはウーロン茶を使えばいいのではないか、と考えた人がいた。実際、ウーロン茶で手を洗ったりすると、実にサッパリして、あとが気持ちいいのである。
そこでその人は洗髪の際、お湯のかわりに市販のボトル入りウーロン茶を用いて洗ってみた。脂が抜けて、なにかすがすがしい気分になった。
洗髪方法は、まずウーロン茶でザッと髪を洗い、さらにシャンプーをする。それから、リンス代わりにウーロン茶を頭にかけてよくマ″サージし、しばらくそのままにして、よく染みわたらせる。
この方法を数カ月続けていたところ、髪のかなり薄かった彼の頭に、モヤモヤと柔らかい産毛が生えてきたというのだ。しかも、さらにウーロン茶による洗髪を続けたところ、最初柔らかかった髪の毛がしだいに太くなっていったという。
彼の言によれば、ウーロン茶もどこのメーカーのものでもいいというわけではなく、S社のものがいちばんであるという。S社はこの効果について、そのような使用法のデータはないのでなんともコメントしようがないといっているそうだが、なんとなく、試してみたくなるような方法ではある。
アロエ
アロエは殺菌・消炎効果があり、市販のシャンプーなどにもアロエのエキスを含んだものがいくつかある。食べるばかりでなく、アロエ茶のようにして飲んだり、アロエクリームとしてお肌に塗ったり、万能効果のある植物の代表のようにいわれているものだから、髪に用いればやはり効果があるとお思いの方も多いだろう。
実際、髪に使うと、まず頭皮の炎症がとれ、湿疹や吹き出物などがなくなり、髪にいい状態の皮膚になる。アロエのジュースをシャンプーやリンスのときに用いればいい。
しかし、このように頭皮には非常に効果のあるアロエだが、髪そのものに対しては、逆に髪に必要な水分やビタミンを奪う働きをするから要注意だ。
この働きは漢方でいう寒湾作用で、髪から生気を奪い、どことなくパサパサした感じの髪にしてしまうのである。だから、アロエを髪の毛に用いる場合には、ある程度の油分やビタミンEなどを補い、アロエに奪われた分を常に補給しなくてはならないということだ。

事件の鑑定と髪の毛①

事件の捜査で、現場などに残された髪の毛が重要な証拠になることがある。その髪の毛を調べれば、それがいったい誰のものか、かなりのところまで識別がつくからだ。また、犯人がどんなに注意していても、ほんの数本の髪の毛まで、現場に残さぬようにすることは非常に難しいだろう。たとえば、一九七一年に起こった連続強姦事件の犯人・大久保清の場合、犯行に使ったマツダ・クーペの車内から二十人余りに及ぶ数の女性の頭髪、陰毛が見つかったことが自供に追い込む重要な証拠となっている。警察はこの髪の毛を、家出人捜索願いが出されている若い女性の毛髪と照合し、さらに犠牲者として判明した人の家から採取した頭髪、体毛、陰毛と照合していったという。彼が車に乗せた女性は五十余人、殺した女性はハ人にのぼる。まさに可能性をひとつひとつつぷしてゆく地道な作業の成果であったわけだ。
最初に事件の捜査に毛が用いられたのは、第一次大戦後のドイツでだった。一九一八年ごろのことである。当時のドイツでは食糧事情がひどく悪化していた。当然肉類も不足し、犬やら猫やらの肉を混ぜた肉が出回りはじめた。
「肉の味がおかしい」 「なにか混ぜ物があるのではないか」
という声が市民からあがることになる。そこで警察当局が捜査に乗り出したわけだが、何の肉が混ざっているのかを突き止めることができなかった。それでは、と考えだされたのが毛の検査である。犬猫の毛が混ざっていれば、犬猫の肉が入っている可能性があることになる、というわけである。毛髪検査はずいぶん下世話な必要性か石開発されたものなのだ。
では、犯罪現場などで発見された毛をどう鑑定するのだろう。髪の毛が警察の鑑識課に送られると、まず人の毛か獣の毛かの鑑別がおこなわれる。そして、それが人毛であった場合、
どこに生えていた毛なのか、毛に損傷はあるか、どうやって抜けた毛なのか、パーマや毛染めはあるか、などということが調査される。そのほか、形態や色調などが詳しく調べられる。長さや太さ、形状はどうか、直毛か、波状毛か、螺旋状毛か。さらに細かくは、毛小皮の紋理や皮質の性状、髄質の構造、断面の形状など。こうしたデータを積み重ねたうえで、総合的に個人の識別がされる。
たとえば陰毛であれば、形態的な特徴から男女どちらのものかがわかる。女性の陰毛のほうが、男性のものより、髄質(毛のしんにあたる柔らかい部分)の幅が広く、皮質部と髄質との境界がはっきりしている、という特徴の違いがあるためだ。吹けば飛ぶよな毛をさらに分析していく苦労は大変なものだ。まさに大久保清事件の解決は、この緻密で根気強い観察の賜物だったのである。
髪の毛の鑑定には、さらに進んだ方法がいくつかあり、現在では個人の特定というところまで可能な段階に入っている。たとえば髪の毛に含まれる微量元素の量を計測する個人鑑別方法が考案されているのだ。髪の毛には、実にたくさんの元素が含まれているもので、炭素、水素、酸素、硫黄はもちろんのこと、塩素、カリウム、亜鉛、マンガン、チタンなどの元素が知られている。この微量元素をそれぞれどのくらい含んでいるかが、人により違っていることを利用しよう、というのである。この方法では、特に塩素の量が個人鑑別の決め手になるといわれている。
また毛髪から血液型を調べることができることはご存じだろうし、さらにDNA鑑定による個人識別法もある。次の項ではこれら、生理学的な鑑定法をみることにしよう。

事件の鑑定と髪の毛②

まず、毛から血液型を調べる方法について少し見てみよう。
人間の血液型は、血や毛だけでなく、爪や唾液、精液などからでも知ることができる。ここで、そもそも一般に普及しているABO式血液型とは、いかなるものかについて少々説明しておく必要がある。
違う型の血液を混ぜ合わせると血は固まってしまう。これは、赤血球の表面の凝集原と呼ばれる糖たんぱく質と、血清中にある凝集素という物質の反応によって起こる。凝集原には、
A型物質とB型物質の二種類があり、一方血清中の凝集素には、A型物質に反応する抗A抗体と、B型物質に反応する抗B抗体とがある。たとえばA型の人の血液ならば、赤血球上にはA型物質が、血清中には抗B抗体が存在するため、B型の血液と混ざると固まってしまうということになる。つまり赤血球上にA型物質だけがある場合がA型、B型物質だけならばB型、両方ともある場合はAB型、そしてそのどちらもない場合はO型となるわけだ。
その後、赤血球上にある凝集素と同じ反応を示す物質が、血液以外の体液やいろいろな組織にも存在していることがわかってきた。これを利用して体液や組織から血液型を調べることができるわけだ。この血液型物質、体中のすみずみまで均等に存在するわけではない。たくさん存在するところと、ないところとがあるのだ。たとえば唾液腺や汗腺などには多く、筋肉や中枢神経系などでは反応がでない。中枢神経系で血液型の反応がでないのなら、血液型による性格判断なんてアテになるわけないじゃないか、という気もするのだが。
話が横道にそれた。毛髪のどこに血液型物質があるかといえば、髄質にある。だから、試料として採取された髪の毛からいかに髄質を取り出すかが血液型鑑定の決め手となるわけだ。
ところが、髄質は毛の根元から先っぽまでずっと通っているわけではなく、不規則に切れ切れの状態で存在している。そこで、強い光に透かして毛を顕微鏡で見たとき、髄質が毛の真ん中に黒く影になって見えることを利用して髄質を取り出す技法が使われている。また逆に髄質部さえ存在すれば、電気カミソリのなかの短いヒゲからでも血液型を決めることができるという話である。
さて、血液型の次はDNA鑑定である。DNAの塩基配列が、ひとりひとり違っていることは科学の教科書で読んだことがあるだろう。しかし、DNAの塩基配列をすべて調べるなんてことは、あまりにも大変すぎて、とてもじゃないが物理的に不可能である。そこで、NA試料にさまざまな操作を加え、個人に特有のパターンを浮かびあがらせる方法がいくつか開発されている。ここで大事なのは、DNA鑑定とは、現場で採取されたたとえば髪の毛の主と、容疑者とが同丁人物であることを決定づけたり、別々に発見されたバラバラ死体の各部がひとりの人のものであることを証明したりするものなのである。いくらDNAの塩基配列が人間を作る基本といったって、決して、髪の毛からその持ち主のすべてがわかってしまうようなものではない、ということだ。
DNA鑑定は、一定量のDNAが得られれば、どんな検査試料でも検査が可能である。法医学的には、毛髪のほか、血痕、精液、組織、皮膚片などが用いられる。毛髪が試料に用いられる場合には、毛根部に付着した毛母細胞や皮膚細胞を使って鑑定をおこなう。この場合、確実な鑑定には数本の髪の毛を必要とするとのことである。

ソビエト指導者とAGA(男性型脱毛症)

かつて冷戦時代を象徴していた東西ドイツの壁もいまはなく、共産主義帝国を誇っていたソビエト連邦も、まことにあっけなく崩壊してしまった。ソ連という国はいったい何だったのか? という問題は別の本にゆずるとして、ここでは、ソ連の指導者における、髪の毛に関係あるおもしろい現象をとりあげよう。
それは、
「ソ連の最高指導者の席には、AGA(男性型脱毛症)とAGA(男性型脱毛症)でない人物が交互というジンクスだ。
につく」
帝政ロシアを倒してソビエト連邦を打ち立てた人物はもちろん、レーニン。彼のAGA(男性型脱毛症)頭はトレードマークのひとつになっていた。
そのレーニンの後をついで最高指導者となり、トロツキー、プハーリンなどというライバルを蹴落とし、弾圧による弾圧を繰り返して実権を握ったのがスターリン。彼は74歳まで生きたが、晩年まで、髪の毛はフサフサとして、頭の上にオールバックでのっていた。
その後をついで党中央委員会議長となったのがフルシチョフ。AGA(男性型脱毛症)でデブの皮肉屋というキャラクターは、にくい共産主義国の人間ながらどこかユーモラスで、アメリカ国内でも人気があった。アメリカに先駆けての人工衛星打ち上げやコルホーズ農法による生産増進など、ある意味でソ連の黄金時代を築き上げたが一九六四年、失脚。
その次に第一書記になり、長くその座を保持したのがブレジネフ。
「スターリンのヒゲを目の上に持ってきた」 といわれた太い眉毛が特徴だったが、髪の毛もまた、白髪まじりながら豊かにあった。
ブレジネフの死去のあと、リーダーとなったアンドロポフは、エリート中のエリートとうわさされたが、髪の毛はほとんどAGA(男性型脱毛症)状態という薄さ。髪の毛と同様に本人も、印象に残る仕事をしないうちに病に倒れ、死亡。
その後を継いだチェルネンコ、これはかなり後退こそしていたが、栗色の髪の毛がちゃんとあった。しかし、アンドロポフ以上に印象の薄いまま、やはり病に倒れて死亡。
そして、このころ瀕死の状態にあったソ連の最後の切り札としてさっそうとデビューしたのがゴルバチョフ。彼はAGA(男性型脱毛症)のうえに、額に赤いアザがあり、それがトレードマークにもなっていた(それまでの写真では修整がほどこされており、アザがあることは書記長になって初めてわかった)。彼は大胆にソ連の機構を改革していき、ペレストロイカ政策を推し進め、ソ連初の大統領となったが、一九九一年、クーデター事件によって失脚、ここにソビエト連邦は七十余年の歴史に終止符を打った。
しかるに、その後ロシア大統領となったエリツィンは、みごとな銀髪をなびかせており、ソ迷崩壊後もなお、このジンクスは続いていると思われる。最近人気の低迷や健康の不安に苦慮していながらもしぷとく大統領の座を保っているエリツィン、さて、次をねらうAGA(男性型脱毛症)はいったい?

毛の抜ける毒・タリウム

犯罪現場に落ちている一本の髪の毛は、鑑識の人間にとっては宝物にも等しい証拠品であるが、犯罪にときどき使われ、しかも服用者の毛の抜ける毒物がある。タリウムである。
このごろでは上司にAGA(男性型脱毛症)る呪いをかけるOLもいるらしいが、タリウムを一服盛る、というのはたいていの場合、AGA(男性型脱毛症)させるのが目的ではなく、殺意があってのことである。
タリウムは銀白色のやわらかい金属で、天然には硫化鉱物のなかにわずかに含まれる。化合物の硫酸タリウムの形で殺鼠剤や殺虫剤に利用され、また酢酸タリウムは、細菌の純粋培養の際、雑菌を殺すのに使われている。どちらもタリウムのもつ強い毒性を利用しているわけだ。
人がタリウム中毒になると、食欲が減退し、体重が減る。さらに多発性神経炎や視神経障害が起こる。重症の場合、失明したり、運動に不自由をきたし、痙撃を起こしたりして死にいたる。そして、なんといっても最大の特徴は脱毛である。
あまりメジャーな毒物でもないと思うのだが、髪の毛がずるりと抜けるという猟奇なイメージのせいか、タリウムはちょくちょく犯罪史上に顔を出す。たとえばイギリスの毒殺マニア、グラハム・ヤング。ヒットラーを尊敬する彼は、少年のころすでに酒石酸アンチモンを家族に盛って、ついには継母を殺した。別に継母と仲が悪かったわけではなく、純粋に毒殺の魅力を味わいたくて殺したというからすごい。
その彼は二十三歳で出所後、こんどは勤務先の人々の飲む紅茶にタリウムを盛った。勤め始めて数週間後にはもう上司が胃の激痛を訴えて死亡したというから、時間を無駄にしない男である。その後毛が抜けたり、体の蝉れを訴えたりする社員が続出し、結局ヤングが再逮捕されるまでに、二人がタリウムで天国へ旅立ったという。
さて日本ではどうか。一九九一年二月、東大医学部付属動物実験施設の技官が死亡し、九三年になってから被害者の同僚が逮捕された。これが東大タリウム殺人事件である。当時の週刊誌によれば、被害者の技官は中古車の売買を副業にしていて、職場の電話をよく使っていた。犯人はそのことに腹を立て、細菌検査用の酢酸タリウムをコーヒー豆に混入した、とのことである。
さらにこの東大タリウム事件のヒントになったといわれている事件がある。一九八一年の福岡大学タリウム中毒事件である。福岡大学医学部付属病院の臨床検査部の技師八入がタリウム中毒にかかり、うちのひとりは髪の毛が大量に抜けたり、手足が蝉れたりして重症となり、長期の入院を余儀なくされた、というものである。やはりこの臨床検査部にも細菌検査用の酢酸タリウムが保管されており、どうやら誰かがお茶やコーヒーに長期に渡ってタリウ
ムを入れていた、と見られている。警察もかなり力を入れて犯人を捜索していたが、検査抜師のひとりが、自分は犯人を知っているが名は言えない、という隔靴掻岸的な遺書を残して自殺してしまい、謎は謎のまま残されてしまった。
しかし、これらの事件の犯人はなぜタリウムをあえて選んだのだろう。やはり一般に馴染みがなく、症状の数が多いことから、なにかほかの病気に見せかけられるとでも思ったのだろうか。それとも、ひょっとしたら毛が抜ける、という四谷怪談以来の猟奇的なイメージがある毒物であるところが、陰湿な犯罪にはふさわしいと犯人たちが考えたのかもしれない。
そういえば、アメリカのCIAが、キューバのカストロ将軍に手を焼いていたころ、彼の靴のなかに硫酸タリウムを仕込む、という作戦をたてていた、という話がある。結局実行されなかったのだが、タリウムの毒性でカストロをAGA(男性型脱毛症)させ、彼のカリスマ性をなくさせよう、というモクロミだったという。どこか間の抜けた陰謀で、真偽のほどはあまり定かではない。

毛の抜けるクスリ

副作用で髪の毛の抜けるクスリといえば、やはり抗がん剤であろう。以前、白血病(これは早い話が血液のがんである)で入院している友人を見舞ったところ、完璧にツルッパゲであったためたいそうびっくりしたことがある。俳優の渡辺謙も自らの白血病を公表した記者会見の席上では、毛の抜けた頭を帽子で隠していて、ファンにショックを与えた。白血病で亡くなったかの夏目雅子も、頭の毛が抜けていたのだろうか? そういえば彼女のテレビでの当たり役のひとつに、『西遊記』の三蔵法師役があったけれど。
さて、抗がん剤は。副作用のスーパーマーケットといわれるほど、多種多様な副作用があることで知られている。試みに、よく使われるある抗がん剤の副作用をあげてみると、心筋障害(総投与量が体表面積の五〇〇mg/mを超えると重篤な心筋障害を起こすことが多い)、ショック、汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、肝障害、蛋白尿等、食欲不振、悪心ヽ・嘔吐、口内炎、下痢、膀院内注入療法で頻尿・膀胱炎・萎縮膀胱、発熱、鼻血、
そして重篤な脱毛、とある。なんだか読んでいるだけで背中がザワついてくるが、まあ、かようにきついクスリであるわけだ。クスリの添付文書で見るかぎり、ほとんどの抗がん剤の副作用に脱毛の表記がある。ではどの抗がん剤でも投与されたら確実にAGA(男性型脱毛症)になってしまうのか、というと必ずしもそうではな
い。クスリの表示の規則では、まれにAGA(男性型脱毛症)ることもある、という程度のものであっても脱毛と表記しなければならないのだ。もちろん、なかには非常によく毛の抜けるクスリがある。このようなクスリを投与されると、投与をはじめてから二、三週間で脱毛の兆候が出はじめ、そしてバサバサと毛が抜けだす。本当に一気に抜けるので、患者さんは皆、仰天するそうである。もっとも、めでたくがん細胞も消えて、クスリの投与を止めると、毛はちゃんとまた生えてくる。ただ、もとの状態に戻るには何カ月かかかってしまうので、その間はカツラを使うことになるわけだ。
ではなぜ抗がん剤でAGA(男性型脱毛症)てしまうのだろうか。その秘密は抗がん剤の多くが、細胞のDNAの合成を邪魔することでがんをやっつけているところにある。がん細胞の多くは、正常細胞よりはるかに速いスピードで分裂し、増殖している。つまりDNA合成を極めて盛んにお
こなっているわけだ。だから抗がん剤によって、正常な細胞よりも深くダメージを受けてしまうのだ。この差があることによって、がんが選択的にやっつけられ、治療効果があらわれる、というカラクリである。ところが、人間の体には通常の細胞より分裂増殖速度が速い組織がある。ひとつは小腸粘膜上皮細胞、そしてもうひとつが毛根部の細胞である。それでいままさに成長しつつある毛、すなわち盛んに分裂増殖する毛根細胞がダメージを受け、ついには抜けてしまう、ということなのだ。一方で、AGA(男性型脱毛症)止め、じゃなかったがんの支持療法薬というのがいろいろ研究されている。つまり少しでも副作用を抑えるためのクスリである。たとえばインミュバートという新薬が
米国で試験中である。このクスリは免疫調節剤で、ドキソルビシン、シクロホスファミドと
いった抗がん剤に対して、脱毛を防ぐだけでなく、白血球量の維持、免疫機能の改善に効果があるということである。ナポレオンの遺髪と毒殺説
たとえずっと昔に死んだ人の髪の毛であっても、それを分析することによって、生前の様子をある程度うかがい知ることができる。
たとえば、万有引力の発見者、アイザック・ニュートン。彼の遺髪を化学分析したところ、多量の水銀が検出された。水銀は硫黄とならんで錬金術の重要なアイテムである。近代科学の祖であるはずの彼が、物理学的な研究に費やすのよりずっと多くの時間と情熱を錬金術に費やしていた、ということは科学史の世界ではよく知られているのだが、その証拠が髪の毛にしっかりと残っているわけだ。逆にいえば、歴史上の人物の生前についての物的証拠は、遺髪とせいぜい遺骨くらいしかない。そこで、遺髪の化学分析をめぐって、さまざまに議論が戦わされることがある。その有名な例がナポレオンの遺髪と毒殺説をめぐる問題である。
1821年、ナポレオン・ボナパルトはセントヘレナ島に流され、そこで没した。遺体は死亡した翌日すぐにイギリスの軍医の手で解剖された。このとき発表された死因は、胃がんであった。しかし、解剖にたちあったフランスの軍医は、胃がん説に反対したという。時はくだって一九五五年、スウェーデンのイエテポリに住むナポレオンおたくの歯科医師フォーシューフットが、従僕頭によるナポレオンの病状の記録と慢性砥素中毒の症状とが一致することに気がついた。そして一九六一年、フオーシューフットによる病状記録の分析と、グラスゴー大学のハミルトン・スミスによる遺髪の砥素含有量分析の結果が発表された。
このときの分析では、彼の遺髪には通常の十三倍というきわめて高い量の砥素が検出された。その後スミスは、髪の毛を五ミリ幅に刻んで分析し、砥素の量の変化を調べた。すると砥素の量のパターンが、回顧録などから推定されるナポレオンの病状の記録とピタリと一致したというのだ。やはりナポレオンは何度にもわたって少しずつ砥素を飲まされていたとい
ではいったい誰がナポレオンに毒を盛ったのか? われわれ取材班はさらなる事実をもとめ……といきたいところだが、ここで反対意見のほうも見てみよう。
まず、遺髪に高い濃度の砥素が検出されたことは認めるが、それは毒殺ではない、とする説。ナポレオンが生活したセントヘレナの家の壁紙から砥素が検出されている。この家は湿気がひどかったと記録されている。この壁紙にカビが生え、カビは自分の生えているところの砥素を吸収し、砥化水素ガスとして放出する。このガスによる中毒だとするものである。
次に、遺髪から検出されたのが砥素だ、というのはマチガイで、分析をやり直してみたら、確かに砥素もあるが、こんどは高い濃度のアンチモンが検出された、というもの。一九六〇年当時の技術では砥素とアンチモンの区別がつかなかったのだろう、ということらしい。アンチモンは当時、阿片やキニーネとともにクスリとしてナポレオンに処方されており、アンチモン中毒であった可能性は十分ある。
そしてさらには、そもそも砥素なんか微量しか検出されませんでした、よって毒殺説は根拠がないのでは、という説もある。
これらの説をふまえて一九九二年、シカゴでオークションにかけられた遺髪をFBIが分析したところ、砥素の量はわずかで、当時の医療で使用された程度のものであった、という。もしこのFBI鑑定が決定的だとしたら、これまでの分析結果はいったいなんだったのだろう? この分析には政治的圧力がかかった、と言い出す者もあり、ナポレオン毒殺説というロマンチックな仮説はまだまだ議論を呼びそうである。
しかし、ナポレオンの遺髪って、結局ちょっとずつ使われて減っているんだね。

プロペシアと同じ成分で割安なフィンコムとは?