ロンドンのクリエーター街で、クールな“屋根裏部屋”を拝見

【世界のイエナカ】「イーストエンド」から感じ取る、クリエイティブな生活

世界一周ユニット「退屈ロケット」が、音楽好きなら一度は憧れるロンドンの雰囲気を紹介

金沢寿太郎
世界一周ユニット「退屈ロケット」のインタビュー・執筆担当。「世界の人とふつうのくらしをつなぐ旅」をコンセプトに「Biotope Journal」プロジェクトを行う。現在は医療系Webメディアに編集長として携わりつつ、ライティング・翻訳等の業務を通じて様々なコンテンツに関わる。

スガタカシ
世界一周ユニット「退屈ロケット」の編集・撮影担当。会社員を経て、「世界の人とふつうのくらしをつなぐ旅」をコンセプトに「Biotope Journal」プロジェクトを行う。現在はフリーランスの編集者として複数のWebメディアの編集・撮影・執筆、イベントのディレクションに関わる。

気になる“あの国”では、どんな人がどんなライフスタイルで生活しているのか。思わずあれこれ参考にしたくなるような、素敵な街角からご紹介します。今回はロンドンのクリエーター街「イーストエンド」から。音楽・アート・イベントなど、さりげないのに格好良さが滲み出るロンドンのムードを、たくさんの写真と共にご覧ください。

イーストエンドの街並み

このイーストエンドは、かつて世界一の都市だったロンドンにおいて、その暗い側面を一手に引き受け(させられ)ているような場所でした。19世紀後半には、文字通り「ロンドンの東の果て」という意味に「貧しくて汚くてアブナイ地域」という侮蔑的な意味合いが加わり、スラムができ、人はあふれ、病気が流行り、犯罪は多発し、切り裂きジャックまで現れたのです。

でも、現代のイーストエンドは決してアブナイ場所でも汚い場所でもありません。ロンドン中心部などのにぎやかな地域に比べれば、平日の日中に訪れると確かにちょっとうら寂しい感じはあります。でも、ごみが散乱していたり、怪しげな人がふらふらと歩いていたりするようなことはありません。壁がグラフィック・アートだらけのところはあるけれど、無秩序なものではなく、若くみずみずしいアーティストの感性が感じられます。そして一方、街角にたたずむ年季の入ったパブは満員ではないけれど、近所に住むおじいさんたちが静かにジョッキを傾けている。そんな街なのです。 ロンドン「イーストエンド」のカフェ。かつて切り裂きジャックが徘徊していたスラム街とは思えない風情。

かつてロンドンの「イーストエンド(東の果て)」と言われていた地域には近年、カフェやギャラリーなど、おしゃれなお店が増えています。お金のないアーティストたちはさらに東に移り住み、「東の果て」は拡張中。

イーストエンドの路上から。壁のグラフィティーが食べているのはパスタ…じゃなくて道路とビル! 街そのものがアートなのです。

ロンドンのイーストエンドでは道路標識もアートの一部に!

空を見上げると、ギャラリー前の電線に靴が引っかかっています。これも誰かの作品……?

新たな文化の発信地

普段は人もまばらな通りが賑わう、月に一度のイベント「ファースト・サーズデイズ」。

普段は人もまばらなこの地域ですが、月に一度だけ賑やかなイベントが行われます。毎月第一木曜日に行われるこのイベントは、その名もそのまま「ファースト・サーズデイズ」。130ものギャラリーやミュージアムが一堂に会してエキシビションを行うという大掛かりなものです。通りにはバーやレストランも出店するし、ミュージシャンも演奏をするし、さながらお祭りのような状況になります。これを見物するためのバス・ツアーまで登場するほどで、この地域はもはや新たな文化のゆりかごであり、発信地になっています。そのお祭りで、路上に機材を持ち出して「ストリートDJ」のようなことをやっていた一人の青年と仲良くなりました。そして後日、部屋を見せてもらうことになったのです。

地域によってさまざまな顔を見せるロンドン。映画に出てきそうな雰囲気。

普段は人もまばらな通りが賑わう、月に一度のイベント「ファースト・サーズデイズ」。そこで登場した「ストリートDJ」に後日、部屋を見せてもらえることに。

カメラを向けるとポーズを取ってくれた、シェアハウスの青年。

すごく広い、快適な屋根裏

シェアハウスの入り口は、通りから見えない裏手に。このわかりづらさが秘密基地的。

彼もまた、イーストエンドに集まってきた若いアーティストのひとりでした。住みかとしているシェアハウスは「大きな倉庫のすごく広い屋根裏」といった奇妙なスペース。狭い階段をやっと上ると現れるその空間は、どこが屋根裏なのかと思うほど広いのですが、天井はちゃんと屋根の裏側になっていますから、屋根裏は屋根裏のようです。同居人は恋人の女性と、友人である別の男性がひとり(この友人はけっこう住みにくい状況かと思うのですが)。建物の裏手には運河がのどかに流れ、緑豊かなその風景はとても心和ませるものでした。大量の機材とレコードを抱え、物価の高いロンドンに住む若手ミュージシャン。彼にぴったりハマる場所というのが、まさにこのイーストエンドの屋根裏だったのでしょう。

運河のほとりの緑が見える窓際には、ちょっとセクシーなアート作品が。

部屋の間取り図

  • ギャラリーやアーティストたちが集まる地域の一角にある、倉庫のようなスタジオの2階。

  • 粗野な雰囲気も漂う地域だけど、運河沿い側は緑豊かで、のんびりしたムード。

  • リビングルームにはルームメイトの私物も一緒になって散らかっていた。残念ながら写真撮影はならず。

  • 室内には、青年がどこかで見つけてきたアート作品や、意味深なオブジェがたくさん。

  • 敷地内の別の棟では、ファッション系のデザイナーたちが仕事中でした。

椅子を大量の機材が囲む様子は、まさに秘密基地のよう。

自分だけの、自分らしい空間

カメラを向けるのがはばかられるほどごっちゃごちゃの部屋でしたが、壁だけはロイ・リキテンシュタインの絵でスッキリと。

文化の担い手である若いクリエイターにとっては、部屋に並べて愛でるべきアイテムに、価格やネームバリューはまったく関係ないのでした。

イーストエンドという土地の昔ながらのイメージに無頓着なことと同じように、作品が高価なものだとか、高名な誰かによるものだとか、そんなことはどうでもいいのかもしれません。有名・無名などは気にせず、素晴らしいと思ったものが雑多に堂々と飾られていました。こうして自分だけの、自分らしい空間が出来上がっていくのでしょう。

「すごく広い屋根裏」を埋め尽くす勢いの、大量の音楽機材。メカ好きの男性だけでなく、意外と女性の興味も引くとか(!?)

部屋の主、自慢のDJ機材。メカ好きは、うんちくの語りすぎに注意しましょう。

ゴッホの自画像は、路上マーケットで安く買ったもの。部屋主の個性が出ています。

部屋主の音楽ユニット名「Payfone(公衆電話)」にちなみ、スピーカーの上に置かれたレトロな電話。家主が創り上げる新しい音楽に、今後も期待です。

         

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  • 2016.04.15

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