成功者への道はここにある! ビジネスに役立つ落語の魅力【前編】

落語に学ぶ仕事の極意「思考・トークの底力を上げよう編」

ドラマやアニメなど、最近なにかと話題になっている落語。調べてみると、政界・経済界の大物にもファンが多く、ある調査では年収1,000万円以上の人の約40%が「落語が好き」と回答したそうです。ということは、落語を聴きつづけていけば、成功者に近づけるのでは!?

と思ってみたものの、敷居が高くどこから手をつければいいか見当がつきません・・・。そこで、12歳で史上最年少落語家として活躍した後、東証1部上場の金融グループにて役員・社長を勤めたという異色の経歴を持つ、横山信治さんにお話を聞いてきました。今回は前後編の2回に分けて、両方の世界を知る横山さんに、落語を仕事に活かす極意を学んでいきましょう。

前編では“ビジネスに直結する落語の魅力”をご紹介します。どうぞ長話になりますが、最後までごゆるりとお楽しみください。

まずはウォームアップ。落語の「入門知識」を頭に入れておこう!

「“落語”って言われたら、笑点の師匠ぐらいは思い浮かぶけど・・・噺(はなし)そのものは聴いたことがないなあ」なんて人は多いのではないでしょうか。そこで、まずは落語がどういったものなのかサラっと頭に入れておきましょう。

■制限を超えた至極のエンターテインメント!
落語とは、たったひとりで何人ものキャラクターを演じ分けながら、「オチ」のあるストーリーを展開させる伝統芸能です。使用できる小道具は、江戸落語の場合は基本的に扇子と手ぬぐいの2つのみ。また、落語家は舞台に上がったら座布団から離れることはありません。上半身の動きと台詞だけですべてを表現しきるのが落語の醍醐味です。

■「古典=江戸の噺」「新作=現代の噺」は間違い
落語は江戸時代に花開いた文化のため、そのころの庶民の生活を描いた噺が多く残っています。ところで『古典落語』『新作落語』といった落語の分類をご存知でしょうか。古典は昔から継承された噺で、新作は現代の落語家が創作した噺と言われていますが、実はこれ、かなり線引きが曖昧です。新作でも江戸を舞台にした噺はたくさんありますし、最近創られた噺でも不特定多数の落語家が演じていい場合は古典として扱うこともあります。

■東と西でずいぶん違う落語の文化
落語は、関東の『江戸落語』と近畿圏の『上方落語』の2つに大きく分けられます。それぞれ成り立ちが異なるため、同じ落語でも少し毛色が違っているのです。
江戸落語はお座敷など室内で栄えた、標準語の落語です。派手な演出を極力避けて話芸と身振りだけで勝負するという、いわゆる江戸っ子気質が好まれています。
京都弁や大阪弁などでキャラクターを演じ分ける上方落語は、お寺の境内など室外で生まれたそうです。より注目してもらえるよう、見台(けんだい)という小さな机の上で小拍子を鳴らしたり、三味線など鳴りものを入れるといった派手な演出も珍しくありません。
大雑把に分けると、上手さを競う江戸落語とウケを重視する上方落語といった、土地柄による気質がそれぞれ出ています。どちらも面白いので、ぜひ聴き比べてみてください。
ちなみに、「真打」「二つ目」「前座」といった落語家の階級を設けているのは江戸落語だけ。「上方落語の真打」なんて言うと、知ったかぶりがすぐバレますのでお気をつけて!(そういうときは名人と呼びましょう)

■落語が聴けるカフェやBARも! 身近なイベントを探してみよう
ここまで読んで「ちょっと落語に興味がわいてきた」なんて人もいるのではないでしょうか。意外とTVやラジオでもよく放送されているので、ぜひ番組表を調べてみてください。また、落語CDも発売されているので、通勤など移動中も気軽に楽しめます。
でも、落語はお客さんの呼吸に合わせ展開させていくものですから、本当の面白さを堪能するなら、やっぱりオススメは生の舞台。寄席(よせ)と呼ばれる演芸場が有名ですが、落語だけでなく手品や漫才といった別の演目が行われることもあります。落語だけをたっぷり聴きたい場合、独演会や二人会といった落語家が独自で行う舞台へ行ってみましょう。実は最近、カフェやBAR、居酒屋、銭湯、映画館などで落語イベントが開かれることも増えてきました。ぜひ、お住まいの近くで生の落語を探してみてください。

「桂」「立川」「笑福亭」「三遊亭」・・・落語家の名字はいくつある?
落語家の名字は亭号と呼ばれ、現在使われていないものを含めると300近くもあると言われています。この名字は入門した師匠から弟子に受け継いでいくもの。由緒ある名前を襲名するときや破門されてしまったときなど、余程のことがない限り変えることはありません。

聴くだけで効果アリ。落語は「頭のサプリ」だった!

それでは、いよいよ本題に入っていきましょう。落語がビジネスに良い理由のひとつが、「頭の回転が早くなる」です。なぜ、そんな効果があるのかご紹介します。

■ストーリーを追ううち、知識の引き出しをどんどん増やせる
落語の噺を理解するためには、そこで描かれている文化・風習を知っておくことが必要です。と言っても、落語を聴く前に難しい下準備をする必要はありません。どんな設定であっても、小学生にも分かるよう伝えるのがプロの落語家。噺の流れや身振り手振りだけでなく、ちょっとした補足もしてもらえるので、現代ではなじみの少ない用語なども自然と頭に入ってきます。

■色んな人の生き方・考え方を想像できるようになる
バラエティ豊かなキャラクターが登場する落語には、多彩な人生が詰まっています。小説を読むように、落語も色んな立場からの考え方を学ぶことができるのです。こうして養った想像力は人間関係の形成にも役立ちます。

■耳から得た情報を処理することで、脳を鍛えられる
前述の想像力の大切さについて別の角度からも紹介しましょう。音声情報をもとにイメージする際、人間の脳は記憶から関連する情報を呼び起こし、情景を組み立てます。結果、脳はより活発に働くわけです。落語を聴いてストーリーを想像することは、脳トレとしても効果があります。

■粋と野暮の違いがわかるようになる
落語の世界で描かれる粋な人とは、単にセンスが良い人・物知りな人を指しているわけではありません。お金がなくて困っている人がいたとき「おかずを作り過ぎちゃったから食べて」と言うのが粋。「貧乏なんだろ、おごってやるよ」と言うのが野暮。つまり、相手の立場を思いやった行動ができる人が粋なのです。この違いが分かれば、人を惹きつける自然な振る舞いができるようになります。

話し下手な人こそ必聴! 「トークの呼吸」を落語から学ぼう

流暢な落語家の喋りは一朝一夕で完成されたものでなく、長い修行の集大成です。すべてを真似することは難しいですが、意識して聴いてみると、会議やプレゼン、商談などビジネスシーンでも使える話し方のコツがつかめるはずです。

■開始10秒がトークの勝負! マクラで場を味方にしよう
落語家が舞台に上がり、観客に喋りかける僅かな時間。ここに発表やプレゼンをしっかり聴いてもらえるようにするコツが詰まっていました。落語というのはすぐ演目に入るのではなく、まず「マクラ」と呼ばれる世間話から始まります。このマクラ、一番の目的は自分の喋る空間を整えることです。座布団から顔を上げ、観客の雰囲気を探り、第一声で注目させる。このおよそ10秒がとても重要です。これはビジネストークの現場でも同じ。会議やプレゼンが上手に進められないと悩んでいる方は、まず周囲の表情をよく確認し、いきなり本題ではなく前フリからスタートしてみてはいかがでしょう。

■失敗こそ最高のネタ! マクラに最適な話題を知っておこう
落語のマクラから、もう少しビジネストークの切り出し方を掘り下げてみましょう。よく落語家がマクラとして取り上げるのは、自分の失敗談です。マクラには場を温めるという役割もあるため、気軽に笑ってもらえる話題が好まれています。ちなみに他人の失敗談は上げつらねません。野暮ですからね。
次に多いのが時事ネタです。みんなが知っている話題を出すことで、場の一体感を狙うわけです。逆に、特に若手のうちは控えるよう言われているのが客イジリ。簡単にウケますが、これでは芸が磨けません。皆さんの周りにも、会議中に上司のご機嫌を取るだけで中身のないプレゼンをする人がいるのではないでしょうか。
簡単にまとめてみると「昨日、カミさんに叱られてしまいまして・・・」「最近○○が流行っているみたいですが・・・」なんてマクラが良いマクラ。ぜひ、あなたのビジネストークでも盛り込んでみてください。

■人に良い印象を与える、明るい言葉づかいを身につけよう
落語の言葉を知っておけば、ビジネスシーンであなたの印象が良くなるかも知れません。ある調査結果によると、人が日常で発する言葉の68%がネガティブワードだそうです。本当に?と思う方、嬉しい・楽しいを連想する言葉と、悲しい・辛いを連想する言葉を紙に書いてみてください。ネガティブの方がスラスラ出てきたのではないでしょうか。庶民の娯楽が発祥の落語はネガティブワードが少なく構成されています。落語の言い回しを頭に蓄積していけば、自然と前向きな発言ができるようになるはずです。

■誰でもできる3つの表現で、トーク全体にリズムを作ろう
落語家の噺の盛り上げ方を知っておけば、トークの流れを作るうえで役立ちます。声の表現というのは、

  1. 音の高低

  2. ボリュームの大小

  3. スピード

この3つを組み合わせるということです。これを上手に使い分けられれば、トークに流れを作ることができます。たとえば、重要なことは大きな声でゆっくり話す、わざと小さい声で話して気にさせる、などは簡単に取り入れられるテクニックです。また、人は緊張すると早口になる傾向にあるため、序盤はスピードダウンを心がけるのも有効です。落語家はこのトークの流れづくりが巧みです。マクラは静かに入り、徐々にスピードアップしながらラストはたたみかける!など、聴き手が惹きつけられるような喋りは簡単にはマスターできませんが、まずは耳から学んでいきましょう。

■「間」で緊張と緩和を演出し、相手の印象に残そう
話し上手になる最大の秘訣は、落語の「間」にありました。この間というのは、要は黙っている時間のことです。なんだ、簡単じゃん!と思ってしまいそうですが、これが落語の最難関の表現技法。間のタイミングや長さが変わってしまうと、笑える噺も面白くなくなってしまいます。
もう少し、間について解説しましょう。噺の途中で間が作られたら、お客は「なぜ?」「どうなる?」と疑問を抱きます。この一瞬の緊張を待ってから、落語家は次の台詞やオチを述べると、お客は「なるほど」と安心するのです。これが緩和。落語では緊張と緩和を絶妙なバランスで入れこむことで、聴き手の心を動かしていきます。落語が上手いというのは、間が上手いということです。
落語家ほどの間はなかなか作れないとしても、たとえば大切なことを言う前にひと呼吸おいて沈黙を作ってみるのはいかがでしょう。ただ一定のペースで喋るより、相手の心に残すトークへ変わるはずです。

トークの話題に困ったら、覚えておきたい「木戸に立てかけし衣食住」
落語発祥ではありませんが、「木戸に立てかけし衣食住」という有名な言葉があります。これは会話のネタの頭文字を集めたものです。いざという時、知っておくと便利ですよ。

き・・・気候、季節
ど・・・道楽(趣味)
に・・・ニュース
た・・・旅
て・・・テレビ
か・・・家庭
け・・・健康
し・・・仕事
衣・・・衣類
食・・・食べ物
住・・・住まい

今回は自分自身のスキルアップにつながる落語の魅力を紹介しました。もちろん、落語の魅力はこれだけでは書ききれません。というわけで、後編ではより良い人間関係の築き方を落語から学んでいこうと思います。どうぞ、ご期待ください。

横山信治
株式会社オフィス・フォー・ユー代表取締役

小学生の頃、落語家の笑福亭松鶴に入門し、最年少プロ落語家としてテレビ、ラジオ、劇場に多数出演。芸名は笑福亭手遊(おもちゃ)、笑福亭鶴瓶氏の元兄弟子。
1982年日本信販(株)(現三菱東京UFJニコス)入社。全国最下位のダメ営業マンから、一気に全国NO.1営業マンへ成長を遂げる。その後、SBIモーゲージ(株)設立や東証1部上場企業の役員、社長を経て2014年独立。幅広い環境・立場から積んできたキャリアと、これまで2万人以上のビジネスパーソンと接してきた経験を活かし、講演や執筆活動、コラム配信にてビジネスパーソンの育成に力を注ぐ。

         

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  • 2017.04.05

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